マグダラのマリア (映画)

マグダラのマリア：信仰と葛藤の物語

2018年に公開された映画『マグダラのマリア』は、新約聖書に登場する同名の女性を主人公とした伝記映画です。イギリスとアメリカ合衆国の共同製作で、ガース・デイヴィス監督、ヘレン・エドマンソンとフィリッパ・ゴスレットによる脚本という布陣で、聖書におけるマグダラのマリア像を現代的に再解釈した作品として注目を集めました。

主演を務めたのは、ルーニー・マーラとホアキン・フェニックス。マーラがマグダラのマリア、フェニックスがイエス・キリストを演じ、他にキウェテル・イジョフォー（ペトロ）、タハール・ラヒム（ユダ）など、実力派俳優たちが脇を固めています。日本においては劇場公開されませんでしたが、ビデオ・オン・デマンドで配信され、多くの視聴者にマグダラのマリア像を改めて知らしめるきっかけとなりました。

映画の内容

物語は、新約聖書におけるマグダラのマリアの生涯を軸に展開します。単なるイエスの追随者としてではなく、彼女自身の視点、葛藤、信仰の揺らぎといった人間的な側面を丁寧に描き出している点が特徴です。周囲の人物との関係性、特に家族や友人との繋がりを通して、彼女の複雑な内面世界が浮き彫りになります。歴史的背景を踏まえつつ、当時の社会情勢や人々の生き様も描かれ、歴史ドラマとしての側面も持ち合わせています。

映画は、イエス・キリストの生涯と深く関わりながら、マグダラのマリア自身の精神的な成長や苦悩、そして信仰の道を追体験する構成になっています。彼女を取り巻く様々な人物たちのドラマも織り込まれ、聖書物語の枠を超えた人間ドラマとして観る者を魅了します。聖書への知識がなくても十分に楽しめるよう、丁寧にストーリーが構成されていることも本作の魅力です。

キャストと製作

本作は、数々の名作を世に送り出してきたSee-Saw Films、Film4 Productions、ユニバーサル・ピクチャーズの共同製作という、豪華な制作体制で実現しました。特に、ユニバーサル・ピクチャーズ国際製作部門のマネジング・ディレクターであるピーター・クジョースキーとロバート・ワラックは、マグダラのマリアという人物の持つ強い個性を高く評価し、本作制作への強い意欲を示していました。

日本語吹替版では、マグダラのマリア役に小林沙苗、イエス・キリスト役に大塚明夫など、ベテラン声優陣が起用されています。彼らの演技も、作品全体の完成度を高める大きな要素となっています。

作品の評価

Rotten Tomatoesなどの批評サイトでは、本作に対する評価は賛否両論となっています。批評家の中には、テーマへの敬意は認めつつも、物語の展開やキャラクター描写の深みに欠ける点を指摘する声もありました。一方で、マグダラのマリア像の再解釈、歴史的背景の描写、俳優陣の演技などを高く評価する声も存在します。

様々な意見があるものの、『マグダラのマリア』は、新約聖書の登場人物を改めて深く理解し、再解釈するきっかけとなる、重要な作品と言えるでしょう。歴史的視点と人間ドラマの両面から、マグダラのマリアという女性の人生と信仰の軌跡を辿る、見応えのある映画です。

主な登場人物

マグダラのマリア：ルーニー・マーラ（小林沙苗）
イエス・キリスト：ホアキン・フェニックス（大塚明夫）
ペトロ：キウェテル・イジョフォー（志村知幸）
ユダ：タハール・ラヒム（阪口周平）
マリアの父：チェッキー・カリョ
マリアの兄：ドゥニ・メノーシェ
マリアの友人：サラ＝ソフィー・ブースニーナ
その他：ハダス・ヤロン、アリアーヌ・ラベド（喜代原まり）、ルブナ・アザバルなど

製作背景

2016年夏に撮影が始まり、当初は2017年11月24日のアメリカ公開が予定されていましたが、延期となりました。その後、イギリスとオーストラリアで2018年3月に公開され、日本ではビデオ・オン・デマンドでの配信となりました。主演のルーニー・マーラとホアキン・フェニックスは、2016年から交際しており、2020年には息子が誕生しています。

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