マグネチックスターラー

マグネチックスターラーとは

マグネチックスターラーは、磁力を利用して攪拌子（かくはんし）を回転させ、液体を攪拌する実験器具です。主に実験室で液体の混合や化学反応を行う際に使用され、長時間にわたって一定速度で自動的に液体を攪拌できる点が特徴です。

基本構造

マグネチックスターラーの基本構造は、以下の3つの要素から構成されています。

筐体: 天板の材質は、プラスチックや金属が一般的ですが、耐薬品性を考慮してセラミックや耐食合金が用いられることもあります。また、液体の漏洩を防ぐために縁が付いているものもあります。
ドライブ部: モーターで磁石を回転させ、攪拌子を駆動させます。モーターは回転速度が可変式で、高粘度液体用には高トルクモーターや強力磁石が使用されます。防爆が必要な環境では、空気圧で動作する軸が用いられることもあります。
コントロール部: 電源管理、モーターの回転速度調整、ホットプレート付きの場合はヒーターの温度調節を行います。回転速度は、最初は遅く、徐々に速くなるように調整します。

また、加熱や冷却が必要な実験向けに、ホットプレートや恒温水槽（ウォーターバス、アイスバス）を組み込んだタイプもあります。攪拌効率を上げるために超音波発生装置を内蔵したものも存在します。

攪拌子（スターラーバー）

攪拌子とは、容器に入れて回転させることで液体を攪拌するチップのことです。棒磁石をフッ素樹脂などで覆った構造で、形状は繭状、八角棒状、風車状などがあります。形状は、攪拌効率や負荷量に応じて使い分けられ、棒状のものが汎用性が高いとされています。

歴史

マグネチックスターラーの歴史は、1940年代に遡ります。

アーサー・ロシンガー: 1942年に米国特許を取得。プラスチックで覆われた棒を回転磁石で駆動させることを考案しました。
エドワード・マクラフリン: 1940年代に、プラスチック被覆の攪拌子を独自に開発。回転時に跳ね回る様子から、攪拌子を「ノミ (flea)」と名付けました。
リチャード・H・ストリンガム: 1917年に、固定した電磁石台による攪拌装置の特許を取得。ロシンガーらの開発に先行する技術でした。
サルバダー・ボネット: 1977年に初の多連式スターラーを開発し、特許を取得しました。

特性

マグネチックスターラーは、メカニカルスターラーと比較すると、高粘度液体の攪拌効率や高速回転時の安定性では劣ります。しかし、密閉容器内での攪拌が容易で、容器上のスペースを有効活用できるという利点があります。

価格

一般的なマグネチックスターラーの価格は、数千円から数万円程度です。

主な製造業者

IKA 実験室装置

関連項目

攪拌
ステア
* ミキサー

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