マサチューセッツ工科大学出版局

マサチューセッツ工科大学出版局（MIT Press）は、マサチューセッツ工科大学（MIT）系列の大学出版局として、学術出版の世界で重要な位置を占めています。

歴史

その起源は1926年に、MITがドイツの物理学者マックス・ボルンの講演集を出版したことに始まります。1932年には、テクノロジー・プレスというインプリントが設立され、本格的な出版事業がスタートしました。このインプリントは、後にMITの学長となるジェームズ・ライネ・キリアンによって設立されました。

テクノロジー・プレスは、1937年にジョン・ワイリー・アンド・サンズと提携し、8タイトルを独自に出版しましたが、1962年に提携を解消しました。その後、社名を現在のMIT Pressに改め、独立系出版社として活動を開始しました。

1968年には学術出版に本格的に参入し、翌年にはヨーロッパに販売拠点を設立しました。1970年代後半には、経済状況の変化に対応するため、初期アーキテクチャ、計算機科学、人工知能、経済、認知科学など、特定の分野に焦点を当て始めましたが、その後、技術やデザイン、最近では環境科学など、他の分野も取り扱うようになりました。

2010年1月には、出版点数が9000タイトルに達し、毎年200冊の書籍と30冊の学術雑誌を出版しています。2012年には、出版局創立50周年を迎えました。

ビジネス

MIT Pressは、美術、建築、視覚芸術、文化研究、認知科学、心理学、言語学、計算機科学、経済、金融、ビジネス、環境科学、政治学、生命科学、神経科学、ニューメディア、科学技術社会学など、幅広い分野の学術書籍を出版しています。

また、Zone BooksやSemiotext(e)といった出版社のディストリビューターとしても活動しています。2000年には、脳・認知科学研究のためのオンラインリソースであるCogNetを立ち上げました。

さらに、MIT Press Bookstoreも運営しており、新刊・既刊の書籍を展示販売しています。この書店は、ケンブリッジのケンドール駅の近くに位置しています。

ロゴ

出版局のロゴは、初代アートディレクターのミュニエル・クーパーが1960年代初頭にデザインしたもので、小文字の「mitp」を基にしています。このロゴは、易経の図象を連想させるようなデザインが特徴的です。tの部分は左から5番目の帯で、pの部分は6番目と7番目の帯で表現されています。

MIT Pressは、その長い歴史の中で、学術出版における重要な役割を果たし続けており、幅広い分野での知識の普及に貢献しています。

もう一度検索