マシジミ

マシジミ（真蜆）

マシジミ（学名: Corbicula leana）は、淡水環境に生息するシジミ科に属する二枚貝です。この貝は河川の中流から上流域、さらには湖沼でも見られるものの、特に砂礫の底を好む生態があります。最近の生息調査によると、マシジミは主に日本本州の一部（岩手県の北上川水系より南）、四国、九州、そして朝鮮半島の一部地域に分布しています。

形態と生態

マシジミの殻は通常、30から35ミリメートル程度の大きさで、まれに40ミリメートルを超えるものも存在します。若い個体は黄褐色の殻を持ちますが、成長に伴い黒みがかり、次第に緑色や黒色に変化します。この変色は生息環境によって大きな影響を受けるため、個体によってさまざまな色合いが見られるのも特徴です。殻の内側は美しい紫色をしています。

これらの貝は、生殖方法が特異で、雄性発生の3倍体という染色体構成を持つため、雌雄同体であり、卵胎生の特性もあります。一つのマシジミが排卵を行うと、他の個体も連動して排卵を始めます。その結果、放出される卵の約10から20%が幼生として親から放出されます。排出された卵はすでに自家受精を済ませており、2日後にはD型幼生へと成長し、底生生活を開始します。この生態は、タイワンシジミと似ているものの、殻の内側の色合いにおいて区別できる特徴を持っています。

保護状況と外来種の影響

マシジミは日本の環境省レッドリスト2020において絶滅危惧Ⅱ類（VU）に指定されています。かつては人間の身近な水路や水田、ため池などで広く見受けられましたが、農業の圃場整備や乾田化が進むにつれて、その生息環境は大幅に失われつつあります。また、マシジミに形態的に似ている外来種のタイワンシジミが日本全土で野生化し、大量繁殖していることも懸念されています。

タイワンシジミとマシジミは、精子側の遺伝情報のみが子に継承されるという特徴があり、タイワンシジミの精子がマシジミに取り込まれることで、マシジミはタイワンシジミの特性を持つ子供を生むことがあります。これが進行することで、マシジミの生息域は減少し、数年で消失してしまう事例も報告されています。

食用利用

日本では、シジミと呼ばれる貝は主に汽水域に生息するヤマトシジミですが、マシジミもまた食用として利用されています。マシジミは特に黄疸に効くとされる効能があるため、地域によっては重要な食材とされています。しかし、生息密度が比較的低いため、琵琶湖産のセタシジミにわずかに混ざっている程度で、市場に出回ることはほとんどありません。

このように、マシジミは日本の生態系において重要な役割を持つが、外的要因により減少が進んでいる状況です。そのため、今後の保護活動や生息環境の回復が求められています。

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