マシュー・ブレイディ

マシュー・ブレイディについて

マシュー・ブレイディ（Mathew B. Brady、1822年5月18日 - 1896年1月15日）は、アメリカ合衆国の写真家として、特に南北戦争の戦場を記録したことで広く知られています。ニューヨーク州出身で、ブレイディは当初、著名な肖像画家ウィリアム・ペイジの弟子としてキャリアをスタートさせました。その後、彼はダゲレオタイプ写真技術を習得し、1844年にニューヨーク市で自らのスタジオを開業しました。この時期、著名な政治家や文化人の肖像写真を多く手がけ、その名声を高めました。

生い立ちと写真家としての初期の活動

ブレイディはアイルランドからの移民の家庭に生まれ、若い頃から芸術に関心を持っていました。彼はサミュエル・F・B・モールスのもとで写真技術を学び、スタジオを開いて多くの肖像を撮影しました。中でもアンドリュー・ジャクソンやエドガー・アラン・ポーなど、著名人の写真が評価されました。

南北戦争とその影響

南北戦争が勃発すると、ブレイディは戦場の様子を写真で記録することを決意します。彼は移動式のスタジオと暗室を使用して、戦の実態を捉えました。彼の作品は多くの人々に衝撃を与え、その影響力は計り知れません。特に、「アンティータムの死体」に関する写真展は、アメリカ人に戦争の現実を直視させる大きなきっかけとなりました。

しかし、ブレイディ自身は大部分の撮影を助手たちに依存しており、実際に戦場に赴く機会は限られていました。多くの著名な戦闘シーンや将軍たちの肖像は、彼のアシスタントによって撮影されたものでした。これにより、彼の名声は次第に広がるものの、後にその功績が公平に評価されるかどうかは議論の余地があります。

戦後の困難と死

戦争が終わると、ブレイディの人気は急激に落ち込みます。戦争の恐ろしい現実に対する関心が薄れ、大衆は戦争の写真を見ることに興味を失いました。ブレイディは自身の資金を投じて多くの原版を作成していたため、財政的に非常に困難な状況に陥りました。アメリカ政府が彼の作品を購入しないことが決まると、彼はスタジオを失い、破産してしまいます。

晩年のブレイディは視力を失い、私生活でも孤独に苦しみました。1896年、彼はニューヨーク市で亡くなるまでの間、様々な悲劇に見舞われました。葬儀はかつての兵士たちによって支えられ、彼はワシントンD.C.の議会墓地に埋葬されました。

ブレイディの遺産

マシュー・ブレイディは、南北戦争の写真を通じてアメリカの歴史に大きな影響を与えました。彼が撮影した数多くの肖像写真や戦場の映像は、今なお歴史的資料として重要視されています。ブレイディが撮った19人の大統領のうち、ウィリアム・ハリソン以外の全員の写真が残っていることは、彼の肖像写真技術の高さを証明しています。彼のアシスタントたちが撮影した作品も、南北戦争の視覚的証言として重要な役割を果たしています。彼は報道写真の父とも称され、後の写真家たちに多くの影響を与えた存在です。

最後に、マシュー・ブレイディはアメリカの文化遺産において欠かせない名を刻んでおり、彼の業績は時代を超えて評価されています。

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