マシンガン・エチケット

ダムドの代表作『マシンガン・エチケット』：再結成と新たなサウンド

ダムドの3作目のスタジオアルバム『マシンガン・エチケット』(Machine Gun Etiquette)は、1979年にリリースされ、バンドの歴史において重要な位置を占める作品です。前作からメンバーチェンジを経て、オリジナルメンバーからブライアン・ジェイムスを除く3人と新ベーシスト、アルジー・ワードの編成で制作されました。このアルバムは、ダムドがイギリスのパンクバンドとして初めて再結成を果たした記念すべき作品でもあり、チジック・レコードへの移籍第1弾アルバムでもあります。新ベーシストのアルジー・ワードは本作を最後に脱退し、後に自身のバンドであるタンクを結成しています。また、前作までベースを担当していたキャプテン・センシブルは、本作以降は主にギターを演奏するようになりました。

アルバムは、デビューアルバム『地獄に堕ちた野郎ども』以来となる全英アルバムチャート入りを果たす成功を収めました。収録されている「ラヴ・ソング」「スマッシュ・イット・アップ」「荒廃の街角」の3曲はシングルカットされ、いずれもチャートにランクインするヒットとなりました。「ラヴ・ソング」は全英20位、「スマッシュ・イット・アップ」は全英35位、「荒廃の街角」は全英46位を記録しています。アルバム全体としては、パンク・ロックのエネルギーとキャッチーなメロディーが見事に融合した、ダムドの代表作として高い評価を受けています。

特筆すべきは、アルバムに収録されているMC5のカヴァー曲「ルッキング・アット・ユー」です。ダムドの解釈によって新たな魅力を加えられたこの曲は、オリジナルとは異なる雰囲気で聴く者を魅了します。オリジナルメンバーと新メンバーが織りなす化学反応、そして新たなサウンドが、このアルバムに独特の個性を与えています。

『マシンガン・エチケット』は、その後のダムドの音楽性にも大きな影響を与えました。パンク・ロックの枠にとらわれず、様々な音楽的要素を取り入れながら、独自のスタイルを確立していく彼らの音楽の転換点となったと言えるでしょう。

リリースから25周年を迎えた2004年には、9曲のボーナス・トラックと「プラン9　チャンネル7」のミュージックビデオを追加したスペシャル・エディションが発売されました。このスペシャル・エディションでは、オリジナルLPでは2曲に分かれていた「スマッシュ・イット・アップ」が1曲にまとめられています。さらに、エド・ハリスによるリミックスバージョンや、バッキングトラック、そして他の楽曲も追加収録されており、ファンにとって垂涎のアイテムとなっています。スペシャル・エディションに収録された楽曲は、以下の通りです。

スペシャル・エディション盤収録曲

ラヴ・ソング
マシンガン・エチケット
荒廃の街角
メロディ・リー
アンチ・ポウプ
ジーズ・ハンズ
プラン9　チャンネル7
ノイズ・ノイズ・ノイズ
ルッキング・アット・ユー
ライアー
スマッシュ・イット・アップ（パート1 & 2）
ラヴ・ソング（エド・ハリス・バージョン）
ノイズ・ノイズ・ノイズ（エド・ハリス・バージョン）
スーサイド
スマッシュ・イット・アップ・パート2（バッキング・トラック - シンガロンガダムド）
スマッシュ・イット・アップ・パート4
バーグラー
荒廃の街角（DJエディット）
ボールルーム・ブリッツ
ターキー・ソング

このアルバムは、ダムドの再結成を象徴する作品であり、彼らがその後も活動を続ける上で重要な役割を果たしました。また、日本のロックバンド、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのバンド名はこのアルバムタイトルに由来しています。パンク・ロックの歴史に名を残す名盤として、現在でも多くのファンから愛されています。

参加ミュージシャン
デイヴ・ヴァニアン (ボーカル)
キャプテン・センシブル (ギター、キーボード、ボーカル)
アルジー・ワード (ベース)
ラット・スキャビーズ (ドラムス)

もう一度検索