マジック・ジョン

『マジック・ジョン』は、1990年 9月28日にジャレコからファミリーコンピュータ向けに発売された、個性的なアクションゲームです。海外では『Totally Rad』のタイトルでリリースされました。

本作の主人公は、ごく普通の少年ながらマジックの修行に励むジョン。プレイヤーは彼を操作し、ジャンプやショットといった基本的なアクションに加え、多種多様な魔法を駆使しながら全5ステージ（ACT）のクリアを目指します。

ゲームシステム

十字キーでジョンの移動を行い、Aボタンでジャンプ、Bボタンで念玉（ショット）を発射します。念玉はBボタンを長押しすることで威力を3段階まで溜めることができ、より強力な攻撃が可能ですが、溜め中にジャンプすると溜めが解除されてしまうため、ジャンプ中の溜め攻撃はできません。マジックはスタートボタンで選択画面を開き、十字キーの上を押しながらBボタンで使用します。マジック使用時にはマジックゲージを消費します。

ゲームはライフ制と残機制を併用しており、ライフゲージが尽きると1ミスとなり残機が減少します。残機がなくなるとゲームオーバーです。ゲームオーバー時にはACTの最初から再開するか、タイトルに戻るかを選択可能です。また、敵を50体、その後は100体倒すごとに残機が1つ増えるボーナスシステムも存在します。ゲーム中のデモシーンや一部のマジック使用時には、画面が激しく点滅する演出があります。

マジック

『マジック・ジョン』の最大の魅力の一つが、豊富に用意されたマジックです。体力回復系、敵にダメージを与える攻撃系、そして主人公自身が別の姿に変身する変身系など、全12種類のマジックがゲーム開始時から全て使用可能です。それぞれのマジックには定められたマジックポイント消費量があります。「ファイヤー」「ウォーター」「ウインド」「ストーン」の4種類の属性攻撃マジックは、ACT1とACT3をクリアすることでエフェクトが強化されます。変身魔法（ライオン、ホーク、フィッシュ）を使用中は、その形態に応じた特殊能力（例：ライオンはジャンプ力向上・ジャンプ中無敵、ホーク・フィッシュは遠距離攻撃・空中/水中移動）が得られますが、変身中は変身魔法以外のマジックが使えなくなります。元の姿に戻るには「ジョン」マジックを使用します。

ストーリー

物語は、スーパーマジシャン「ミスター・ポン」に憧れて弟子入りした普通の少年ジョンが主人公。師匠のもとで修行に励む日々を送っていましたが、ある日突然現れた謎の怪人たちによって、ガールフレンドのユウが連れ去られてしまいます。ユウを救い出すため、ジョンはミスター・ポンから教わったマジックを武器に怪人に立ち向かいます。無事ユウを助け出した後、怪人たちの本当の目的が「世界一の科学者」であるユウのパパであったことが判明し、今度はユウのパパが連れ去られてしまいます。ジョンは再び、大切なユウのパパを救出するべく冒険を続けることになります。

主要な登場人物として、正義感の強い主人公ジョン、彼を慕うガールフレンドのユウ、そして女性的な口調で話すスーパーマジシャンの師匠ミスター・ポンが登場し、物語を彩ります。

ステージ構成

ゲームは全5つのACTで構成されており、各ACTは複数のROUNDに分かれています。各ROUNDの最後には中ボス、そして各ACTの最後には強力なボスキャラクターが待ち構えています。ゲームの舞台はACTごとに大きく変化し、ACT1は遊園地、ACT2はビル街と下水道、ACT3は森や湖、ナイアガラの滝、ACT4は敵の本拠地である地底洞窟や前線基地、そして最終ACT5は地底人の基地から異次元空間へと進みます。各ステージには個性的な敵や仕掛けが登場します。

移植版

本作は、後にNintendo Switch向けダウンロードタイトル「ジャレコレファミコン編」シリーズの一つとして移植・配信されました。この移植版には、オリジナルの日本国内版に加え、海外版『Totally RAD』も同時収録されています。「ジャレコレ」シリーズ共通の便利な機能（どこでもセーブ、巻き戻しなど）に加え、本作独自の機能も追加されています。例えば、通常はスタートボタンで開くマジック選択画面を経由せず、LRボタンでマジックを素早く切り替えられる「マジックショートカット」、ゲーム画面の隅にマジックの効果一覧を表示する「マジックインフォ」、中ボスやボスの残り体力、プレイヤーの残機数、敵の撃破数を常に表示させる「体力・残機・撃破数表示」機能などが搭載され、遊びやすさが大きく向上しています。また、マジック使用時などに発生する激しい画面点滅演出についても、オプション設定でON/OFFを切り替えることが可能となっています。

スタッフ・評価

本作の開発には、メインプログラム担当のGT-R氏、サウンドプログラム担当のSOARER氏、サウンドの澤和雄氏、田崎寿子氏、キャラクターおよびモンスターデザインの小宮山慶太氏、背景デザインおよびアニメーションのひらのみか氏、加藤友子氏、そして企画の川野一博氏らが携わっています。

当時のゲーム雑誌による評価としては、『ファミコン通信』のクロスレビューで40点満点中23点、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票によるゲーム通信簿では30点満点中16.87点という評価を得ています。

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