マスゲーム

マスゲームとは

マスゲームとは、多数の人が集まり、体操やダンスなどを一斉に行う集団演技のことです。集団行動の同調性が高く、視覚的な美しさが特徴です。集団体操とも呼ばれます。

群舞とは異なり、マスゲームは単一のリズムで行われることが多いですが、近年では群舞の要素を取り入れたものも存在します。

概要

現代のマスゲームは、個々の参加者が「点」となり、集団全体で「マス」を構成し、表現すべきモチーフを描き出します。踊り手の並び方であるフォーメーションを組み合わせることで、多様な表現を生み出します。

マスゲームは、同時性シンメトリー（Synchronized Symmetry）の視覚的効果を利用します。これは、左右、上下、前後、放射形などが同時にシンメトリーに動くことで、安定感と効果的な表現を実現するものです。

大規模なスポーツイベントなどでは、集団の連帯感を示すパフォーマンスとしてマスゲームが披露されます。かつては工場で集団体操として行われていたこともありました。

日本で「マスゲーム」という言葉が使われ始めたのは、1925年の第2回明治神宮競技大会からです。ドイツ語のMassenturnenが語源で、「マス」（mass：多数）と「ゲーム」（game）を組み合わせた和製英語です。北朝鮮のアリラン祭の影響で、用語が国際化しました。

数百人から数千人もの参加者が必要なマスゲームは、通常、学校の生徒や関係者、企業の協力、市民のボランティアなどによって支えられています。ただし、一部の国や団体では、国威発揚やイメージアップのために強制的に行われることもあります。

各国のマスゲーム

日本

欧米

ルーマニアのチャウシェスク政権やユーゴスラビアのティトー政権などの社会主義国が、北朝鮮のマスゲームの先駆けとなりました。

欧米では、農業祭などで馬に乗って行われるマスゲームもあります。統制の取れた動きを披露するもので、スペインのセビリア祭が有名です。

19世紀のドイツでは、効率的な体操指導法として、号令に合わせて一斉に体操する合同体操（マッセントゥルネン）が普及しました。マスゲームは見せ物として発展し、旧チェコスロバキア、オーストリア、スイスなどにも広まりました。

朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）

北朝鮮のマスゲームは、人文字を使った大規模なものが有名です。10万人を動員し、1時間半にわたって行われることもあります。金日成の誕生などをテーマにしたものが多く、体制を称賛する内容が含まれています。

しかし、その裏では、子供たちが長期間にわたる過酷な練習を強いられ、人権侵害が行われているという指摘もあります。国連の報告書では、練習中に体調を崩して死亡する児童もいたと報告されています。

2019年には、金正恩がマスゲームの芸術公演「人民の国」を酷評し、一時休演となりました。

観覧料は高額で、外貨獲得の手段となっています。

大韓民国（韓国）

韓国では、1972年の維新クーデター後、朴正煕大統領を表現するマスゲームが行われました。

関連項目

人文字
組体操
若い力
パラバルーン
集団行動
エッサッサ
アーティスティックスイミング
シンクロナイズドスケーティング
チアリーダー
応援団
演武
形稽古

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