マズィル

マズィル（Mazyr）

マズィルは、ベラルーシのホメリ州に位置する都市で、首都ミンスクから東に約210キロメートル、チェルノブイリからは北西に約100キロメートルの距離にあります。市の近くにはプリピャチ川が流れ、自然環境にも恵まれています。人口は2013年の推計で約10万人ですが、その周辺地域を含めると約15万人に達します。

経済と産業の中心地

マズィルは、ベラルーシの中でも特に石油精製、機械製造、食品加工の中心地として知られています。この都市には同国最大の製油所があり、年間1800万トンの石油を精製しています。また、ロシアからのドルジバパイプラインがこの都市で分岐し、一方はポーランドへ、もう一方はウクライナへと延びています。これにより、マズィルは重要なエネルギー供給の拠点ともなっています。

自然環境と地形

市はプリピャチ川の右岸、約80メートルの高さの丘の上に広がっています。この丘は氷河の作用によって形成されたもので、周囲の環境には古くからの氷河の痕跡があります。川の両岸は砂質で、多くの渓谷が点在しています。中でも長さ2.5キロメートル、最大幅200メートルに及ぶ大きな渓谷が存在し、その一部は保護地域に指定されています。さらに、近くにはスキーリフトが設置された渓谷もあり、冬には多くのスキー客が訪れます。

歴史と文化

マズィルにはかつて多数のユダヤ人が住んでいましたが、第二次世界大戦中にナチスによって多くが命を落としました。街にはこの歴史を記念するモニュメントが点在し、戦争の悲劇を現在に伝えています。また、共産党時代には多くのユダヤ人が海外に移住し、特にアメリカやイスラエルなどに渡ったと言われています。1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故では、あまりに多くの放射線がこの地に降り注ぎ、深刻な影響を及ぼしました。

社会的な問題

2008年には、マズィルの精神病院で衝撃的な事件が発生しました。患者たちが庭でロシアンルーレットを行い、一名が死亡するという痛ましい事故が起きました。この出来事は警備管理や精神病院の運営に関する議論を引き起こし、どのようにして患者たちが銃を手に入れたのかが大きな関心を集めました。

音楽文化の発信地

マズィルは、ホメリ地域におけるモダンロック音楽の中心地でもあります。2003年から毎年開催される音楽フェスティバル「Hey, Rocknem!」には、40以上のロックバンドが参加し、街の重要な文化イベントとなっています。このフェスティバルは地元の企業や団体の協賛により実現されており、特にベラルーシのハードロック音楽の先駆者であるOtrazhenie（反射の意）などがその名を馳せています。

姉妹都市

マズィルには国際都市との交流があり、ロシアのエゴリエフスクやセヴェロドヴィンスク、チェコのStrakonice、ウクライナのコーロステニ、Khartsyzk、ニジィンなどが姉妹都市として結ばれています。

名所と人々

この街は、歴史や文化に根ざした多様な顔を持つ場所であり、出身者には著名な石油地質学者ジョージ・ド・モーレンシルトがいます。彼はケネディ大統領暗殺事件の前にリー・ハーヴェイ・オズワルドと親交があったことで知られています。マズィルはその知識と文化が息づく街であり続けています。

もう一度検索