マセラティ・3200GT

マセラティ3200GT：イタリアンラグジュアリーと挑戦的なデザインの融合

1998年から2001年にかけて生産されたマセラティ3200GTは、同社の歴史において重要な位置を占める高級スポーツクーペです。経営再建を図っていたマセラティが、フィアット傘下からフェラーリ傘下に移った後、世に送り出した最初のモデルであり、復活をかけた野心的な挑戦の象徴と言えるでしょう。

デザイン：往年の伝統と未来への展望

3200GTのデザインは、数々の名車を生み出してきた巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロの手によるものです。ジウジアーロは、マセラティの伝統的なファストバックスタイルを継承しつつ、現代的な滑らかさと落ち着きを兼ね備えた、洗練されたフォルムを創造しました。インテリアは、スポーツクーペとしてのスポーティさを保ちつつ、マセラティらしい高級感と快適性を両立させています。

特筆すべきは、その特徴的なリアデザインです。ブーメラン型とも称されるLEDテールランプは、発表当時賛否両論を巻き起こしました。ジウジアーロ自身は当初楕円形のテールランプを提案していたものの、マセラティ側の強い要望によって、この個性的なデザインが採用された経緯があります。ジウジアーロは本意ではなかったと語っていますが、結果としてこのテールランプは3200GTのアイコニックな存在感を生み出すことになりました。ただし、このLEDテールランプは光量が不足していたため、アメリカ市場への投入は叶わず、マイナーチェンジ後の後継モデルであるマセラティ・クーペでは、デザインが変更されています。

パフォーマンス：伝統のV8エンジンとツインターボ

3200GTには、マセラティ伝統の90°V型8気筒DOHC 32バルブエンジンを搭載。3.2Lの排気量から、ツインターボによって370HP/6250rpmの最高出力と50.0kgm/4500rpmの最大トルクを発生させました。このパワフルなエンジンは、3200GTのスポーティな走りを実現する上で重要な役割を果たしています。ちなみに、3200GTは、後継モデルの登場までマセラティ最後のターボモデルであり、デトマソ製のエンジンを搭載した最後のモデルでもありました。

歴史的背景：フィアットからフェラーリへ

1997年、経営難に陥っていたマセラティは、フィアット傘下からフェラーリ傘下へと移りました。3200GTは、この移行後、マセラティが最初に発表したモデルであり、フェラーリの技術や経営ノウハウを取り入れながら、新たな道を歩み始めるための重要なステップとなりました。この変革期に誕生したモデルとして、3200GTは、マセラティの歴史における転換点を象徴する存在と言えるでしょう。

日本での販売と生産終了

日本市場において、3200GTの販売価格は1100～1150万円と、高価格帯に設定されていました。アメリカ市場への投入が叶わなかったこと、そして後継モデルの登場により、2001年には生産が終了しました。しかし、その個性的なデザインと高いパフォーマンスは、今もなお多くの自動車ファンを魅了し続けています。ギブリが登場するまで、3200GTはマセラティの最後のターボモデルとして、その歴史に名を刻んでいます。

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