マダバ

マダバの概要

マダバ（مادبا, Madaba）は、ヨルダンの西部に位置する都市で、マダバ県の県都です。首都アンマンから南西に約35キロメートルの距離にあり、死海の東側の台地の上に広がっています。ここには約60,000人が住んでおり、ヨルダンで第5位の都市です。

この街は古代のモザイクで特に有名で、特に東ローマ帝国時代およびウマイヤ朝時代の貴重な遺構が数多く残っています。特に有名なのは「マダバ地図」と呼ばれる、パレスチナやナイルデルタを描いた壮大なモザイク作品です。この地図は、モザイク制作技術の高さを物語るもので、訪れる人々の注目を集めています。

歴史

マダバ周辺は新石器時代から人々が住んでいた地域であり、この街自体は青銅器時代中期にまで遡ることができます。古代にはモアブの境界に位置した町であり、旧約聖書にも「メデバ」として登場します。106年にはローマ帝国に支配され、アラビア属州に編入された後、東ローマ帝国の統治を受けました。その後もイスラム帝国、ウマイヤ朝の支配下にありました。

キリスト教徒のコミュニティに関する最古の記録は、451年のカルケドン公会議に遡り、この時のボストラの大司教が「メダベニ」と名乗る司教の署名を行っています。このワットンは、現在のマダバと考えられています。746年の大地震によってマダバは破壊され、その後は廃墟のままとなりましたが、1880年にイタリア人の司祭に率いられたアラブ人キリスト教徒の家族が再移住し、現代のマダバの基盤が築かれました。

遺物の発見

19世紀末、マダバに移住した住民が家の建設を進めていた際に、古代のモザイクが偶然発見されました。これにより住民たちはモザイクの重要性を理解し、それ以降の発見は丁寧に保存されていきました。1896年には「マダバ地図」として知られるモザイク地図が発見され、翌年にはその研究成果が出版されました。この発見は、古代世界の地理に関する非常に貴重な資料として評価され、マダバは「モザイクの都」として知られるようになりました。

市の北側には古代のモザイクが多く残されており、行われていたのはローマ街道や「地図の教会」、聖母マリアの教会などの宗教的建造物があります。「マダバ地図」は、エルサレムの地名を詳述しており、6世紀当時の街の様子を鮮やかに描き出しています。この地図はエルサレム研究においても貴重な資料とされています。

宗教

マダバでは、市民の約半分がムスリムですが、ヨルダン内でのキリスト教徒の割合が高く、30%から40%がキリスト教徒です。市内には多くの教会が存在し、異なる宗教が共存している場所でもあります。

開発

最近では、マダバに新たに大学が設立される予定であり、旧市街付近に新しい住宅地の建設も進められています。また、国際的な企業が新しいオフィスビルの建設に出資しており、地域の発展が期待されています。

結論

マダバは歴史的遺産や文化が息づく地域であり、古代からのモザイク作品が観光の名所とされ、多くの人々が訪れる場所です。今後の発展にも注目が集まっています。

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