マチート

マチート（本名: Francisco Raúl Gutiérrez Grillo、1912年2月16日 - 1984年4月15日）は、キューバのハバナで生まれ、ラテンジャズ界に多大な影響を与えた音楽家です。彼は、マラカス奏者、歌手として活躍し、アフロ・キューバン・ジャズの源流を作り上げた人物として知られています。

「マチート」という愛称は、「小さい子供」という意味で、末っ子を指す言葉です。しかし、実際には妹のグラシェーラがおり、彼女はマチートの楽団で歌手を務めていました。家族ぐるみで音楽に携わっていたことが伺えます。

1941年、マチートはマンボのバンドを結成しました。その際、義理の兄弟であり、ビバップのトランペット奏者で編曲家でもあったマリオ・バウサが、マンボをジャズに取り入れるという革新的な試みを始めました。彼は自身のバンドをアフロ・キューバンズと名付け、ジャズの即興演奏（インプロヴィゼーション）をアフロ・キューバンのリズムと融合させたのです。これは、アフロ・キューバン・ジャズの誕生を告げる画期的な出来事でした。

マチートの音楽は、長年にわたり多くの人々に愛され、1983年には「Machito & His Salsa Big Band '82」名義でグラミー賞のベスト・ラテン・レコーディングスを受賞しました。これは、彼の音楽的功績が広く認められた証と言えるでしょう。

1984年、マチートはイギリスのロンドンでツアー中に、ロニー・スコットのクラブで演奏中に脳卒中で倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。彼の突然の死は、ラテンジャズ界にとって大きな損失でした。

彼の功績を称え、1987年にはドキュメンタリー映画『Machito: A Latin Jazz Legacy』が発表されました。この映画は、マチートの音楽人生を振り返り、彼がラテンジャズ界に与えた影響を深く掘り下げた内容となっています。

主なディスコグラフィ

リーダー・アルバム
『ケニア : アフロ・キューバン・ジャズ』 - Kenya (1957年、Roulette)
Vacation at the Concord (1958年、Verve)
『マチート・ウィズ・フルート・トゥ・ブート』 - Machito with Flute to Boot (1959年、Roulette)
Machito at the Crescendo (1961年、GNP Crescendo)
『ムーチョ・マーチョ』 - Mucho Macho Machito (1978年、Pablo) ※1948年–1949年録音
Machito!!! (1983年、Timeless)
参加アルバム
ミゲリート・バルデース : Afro-Cuban Music (1947年、Decca) ※1942年録音
ミゲリート・バルデース : Bim Bam Boom – An Album of Cuban Rhythms (1949年、Decca)
チャーリー・パーカー : 『サウス・オブ・ザ・ボーダー』 - South of the Border (1952年、Mercury)
ディジー・ガレスピー : 『アフロ・キューバン・ジャズ・ムーズ』 - Afro-Cuban Jazz Moods (1975年、Pablo)

マチートの音楽は、今日でも多くの人々に愛され続けています。彼の革新的な試みと情熱は、ラテンジャズの発展に大きく貢献し、後世の音楽家たちに多大な影響を与えました。

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