マッカートニーIII

ポール・マッカートニーの『マッカートニーIII』

『マッカートニーIII』（McCartney III）は、伝説的なイギリスのミュージシャン、ポール・マッカートニーが2020年12月18日にキャピトル・レコードからリリースした18作目のソロアルバムです。彼の初期のアルバム『マッカートニー』（1970年）や『マッカートニーII』（1980年）と同様に、本作もマッカートニー自身が作曲、アレンジ、演奏を手がけた作品で、長いキャリアの中で新たな一歩を印象付けています。

背景とレコーディング

このアルバムの録音は2020年初頭、新型コロナウイルスの影響でロックダウンが行われている最中に、イギリスのサセックスで進められました。マッカートニーは、この状況を「ROCKDOWN」と呼び、音楽制作に没頭しました。彼は「毎日楽器を演奏し、書いた曲を録音し、徐々にレイヤーを重ねていく作業が楽しかった。仕事というより、自己表現のために音楽を作っていたんだ」と述べています。

多くの楽曲は、ギターやピアノの弾き語りがベースに重ねられた形で制作されており、この独自のスタイルは、1990年代初頭においてジョージ・マーティンと共同制作した「When Winter Comes」の経験から着想を得たものです。オープニング・トラックには、「When Winter Comes」に新しい旋律を加えた「ロング・テイルド・ウィンター・バード」が収録されており、アルバムの締めくくりにはその楽曲が含まれたエンディング・トラック「ウインター・バード / ホエン・ウィンター・カムズ」が位置しています。

発売時の状況

『マッカートニーIII』は、CD、アナログレコード、デジタル配信の形式でリリースされました。初めは2020年12月11日の予定でしたが、制作上の遅れにより一週間延期され、ついに12月18日に発売されました。

アナログ盤は、さまざまなカラーバリエーションで販売されました。通常のブラック盤に加え、リサイクル盤や限定カラーのレッド盤、ホワイト盤、ピンク盤など、多彩なバリエーションが用意されていました。また、CD版には、特別アートワーク仕様の特定カラーがリリースされています。

特に日本盤は「深い深い感情」と「スライディン’」の収録順が逆になるなどのユニークな特徴があり、ファンの間で話題になりました。また、ボーナストラックが含まれた日本限定のスペシャル・エディションも登場し、印象的でした。

収録曲の魅力

収録曲は全11曲。ポール・マッカートニーが全曲の作詞・作曲を手がけています。多彩なジャンルにわたる楽曲は、聴く者に強い印象を与え、彼の音楽的スキルが存分に発揮されています。最初から最後まで、彼の声と楽器演奏が織りなす世界は、聴くたびに新たな発見につながります。

フォロワーアップ

さらに、2021年には『マッカートニーIII IMAGINED』というタイトルのコンピレーション・アルバムもリリースされ、様々なアーティストが『マッカートニーIII』の楽曲をリミックスしたりカバーしたりしています。この新たなアプローチは、元のアルバムに新しい解釈を与え、マッカートニー作品の幅を広げています。マッカートニー自身が多くのアーティストを選び、交友関係を広げる姿勢が印象的です。

結論

『マッカートニーIII』は、ポール・マッカートニーのキャリアの重要なマイルストーンであり、彼の音楽に対する情熱と探求心の結果と言える作品です。リスナーにとって、彼の音楽をより深く理解するための貴重な資料ともなっています。

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