マックス・ザスロフスキー

マックス・ザスロフスキー：NBA初期のスター選手

マックス・ザスロフスキー（Max Zaslofsky, 1925年12月7日 - 1985年10月15日）は、ニューヨーク州ブルックリン出身の元バスケットボール選手です。セント・ジョンズ大学出身で、NBAの初期において傑出した才能を発揮し、得点王にも輝きました。

生い立ちと初期のキャリア

ザスロフスキーは、ロシアからの移民であるユダヤ系の両親のもとに生まれ、ブルックリンのブラウンズビルというユダヤ人が多く住む地域で育ちました。幼少期は地元のプレイグラウンドでバスケットボールに明け暮れ、毎日5〜6時間も練習に打ち込んでいました。トーマス・ジェファーソン高校に進学すると、バスケットボール選手としての才能が開花し、注目を集めるようになりました。しかし、高校卒業後は兵役につき、第二次世界大戦中に2年間、海軍で過ごしました。除隊後、セント・ジョンズ大学に進学し、最初のシーズンで平均7.8得点、合計140得点を記録し、チームの主要な得点源として活躍しました。

大学在学中、アメリカのバスケットボール界に初の本格的なプロバスケットボールリーグであるBAA（後のNBA）が誕生しました。当時、結婚したばかりだったザスロフスキーは、家計を支えるために大学を1年で中退し、プロの世界に飛び込むことを決意しました。

プロとしてのキャリア

シカゴ・スタッグズに入団したザスロフスキーは、1年目からチームのリーディングスコアラーとして活躍し、シーズン通算877得点（平均14.4得点）を記録。これはリーグ4位の成績であり、オールNBA1stチームに選出されるという快挙を成し遂げました。ザスロフスキー、チック・ハルベルト、ミッキー・ローターらを擁するスタッグズは、地区トップの39勝を挙げ、プレーオフも勝ち進んでファイナルに進出しましたが、フィラデルフィア・ウォリアーズに4勝1敗で敗れ、初代NBAチャンピオンの座を逃しました。翌シーズンには、リーグで唯一となる1000得点越え（1007得点、平均21.0得点）を達成し、見事得点王に輝きました。その後も3シーズン連続で1000得点以上を記録し、リーグを代表するスコアラーとして名を馳せ、オールNBA1stチームにも4年連続で選出されるなど、リーグ屈指の実力者としてその名を轟かせました。

ザスロフスキー個人としては順調にキャリアを重ねる一方で、チームはファイナル進出以降、中堅チームに落ち着き、目立った成果を上げることはできませんでした。そして、1949-50シーズンを最後に、チームは解散という悲劇に見舞われました。

スタッグズの選手たちは、ニューヨーク・ニックス、ボストン・セルティックス、ウォリアーズの3チームによるドラフトで移籍先が決定されることになりました。この3チームにとって最大の目玉はザスロフスキーであり、セルティックスの伝説的なヘッドコーチ、レッド・アワーバックも彼を熱望しましたが、幸運にもザスロフスキーを獲得したのはニックスでした。ちなみに、セルティックスが渋々受け入れたのが、後にスター選手となるボブ・クージーでした。

故郷ニューヨークに戻ったザスロフスキーでしたが、スタッグズとはチーム事情が異なるニックスでは、チームメイトのハリー・ギャラティンらと得点機会を分け合ったため、彼の成績はやや後退しました。しかし、ザスロフスキーの加入後、ニックスは3年連続でファイナルに進出するなど、最初の黄金期を迎えました。ザスロフスキー自身も1952年のオールスターに初選出されています。しかし、悲願の優勝は叶わず、3回連続でファイナルで敗退。1952-53シーズンを最後に、ザスロフスキーはニックスを去り、ボルティモア・ブレッツに移籍しました。

1953-54シーズンをブレッツで迎えたザスロフスキーでしたが、ここでもチーム解散という不運に見舞われました。ブレッツから放出された彼は、ミルウォーキー・ホークスに移籍した後、フォートウェイン・ピストンズへと渡り歩きました。

ピストンズでは、中心選手のジョージ・ヤードリーやラリー・ファウストらをサポートする役割を担い、平均11.2得点を記録。チームはザスロフスキーが合流したこの年、一気にファイナルに進出しましたが、シラキュース・ナショナルズに敗れました。翌1955-56シーズンのザスロフスキーの成績は、初めて平均得点が二桁を割り込み、9試合をプレイした時点で現役を引退しました。

プレースタイルと業績

ザスロフスキーは、正確なシュートを武器に得点を量産するスコアラーであり、リーグを代表するガードでした。得点王に1回、1949-50シーズンにはフリースロー成功率84.3%を記録し、リーグ1位に輝きました。プロキャリア通算では7990得点（平均14.8得点）を記録し、彼が引退した1956年の時点で、通算7900得点を突破したリーグ3番目の選手でした。また、彼は所属したチームの多くをファイナルに導いており、シーズン途中で移籍したブレッツとホークスを除いては、すべてのチームをファイナルに進出させています。彼のキャリア10年間で、ファイナル進出は5回を数えますが、ついに優勝には手が届きませんでした。

ザスロフスキーは、ユダヤ人バスケットボール選手の中で最も偉大な人物の一人と評されており、『国際ユダヤ人スポーツの殿堂』と『ニューヨーク・スポーツ殿堂』にそれぞれ殿堂入りを果たしています。

コーチとしてのキャリア

1967年からニューヨーク・ネッツで2シーズン指揮を執りましたが、通算成績は53勝103敗と振るいませんでした。

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