マックス・プランク進化人類学研究所

マックス・プランク進化人類学研究所

マックス・プランク進化人類学研究所（Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology）は、ドイツのザクセン州ライプツィヒに位置する、マックス・プランク研究所群の一員です。1997年の設立以来、人類の進化に関する多岐にわたる研究を推進し、国際的に高い評価を得ています。

組織構成

研究所は、以下の6つの主要な部門で構成されています。

1. 考古遺伝学部門（Department of Archaeogenetics）: 古代DNAの解析を通じて、人類の過去を解明します。
2. 比較文化心理学部門（Department of Comparative Cultural Psychology）: 人間の心理と文化の進化を比較研究します。
3. 進化遺伝学部門（Department of Evolutionary Genetics）: 遺伝子レベルでの人類進化のメカニズムを探求します。
4. 人類行動生態文化学部門（Department of Human Behavior, Ecology and Culture）: 人間の行動、生態、文化の相互作用を研究します。
5. 人類進化学部門（Department of Human Evolution）: 化石人類の研究などを通して、人類の進化史を解明します。
6. 言語文化進化学部門（Department of Linguistic and Cultural Evolution）: 言語と文化の進化過程を研究します。

著名な研究者

スバンテ・ペーボ（Svante Pääbo）: 進化遺伝学の分野で特に著名な研究者であり、ネアンデルタール人ゲノム解読のパイオニアです。
バーナード・コムリー（Bernard Comrie）: 言語学の分野で多大な貢献をしています。
マイケル・トマセロ（Michael Tomasello）: 認知心理学者であり、研究所の所長を務めています。

主な研究成果

ネアンデルタール人ゲノム解読: 2010年、ネアンデルタール人のゲノム解読に成功し、現生人類（ホモ・サピエンス）の祖先にネアンデルタール人の遺伝子がわずかに混入している可能性を示唆しました。この研究は、人類の進化史における異種交配の重要性を示唆する画期的な成果として注目を集めました。
デニソワ人発見: シベリアのデニソワ洞窟で発見された化石人骨（デニソワ人）に関する研究も重要な成果の一つです。ミトコンドリアDNAおよび核DNAの解析により、デニソワ人がネアンデルタール人や現生人類とは異なる系統に属する化石人類であることが判明しました。また、メラネシア人のゲノムにはデニソワ人に特有の遺伝子が含まれていることが明らかになり、デニソワ人がメラネシア人の祖先と交配していた可能性が示唆されています。
遺伝子FOXP2の研究: スバンテ・ペーボらは、言語発達に関与する遺伝子FOXP2を特定しました。この遺伝子の研究は、言語能力の進化を理解する上で重要な手がかりとなっています。

マックス・プランク進化人類学研究所は、人類の進化に関する理解を深めるための最前線に立っています。その研究成果は、人類の起源、多様性、そして未来を考える上で、かけがえのない貢献をしています。

外部リンク

* マックス・プランク進化人類学研究所ホームページ（英語）

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