マッシュル-MASHLE- (アニメ)

マッシュル-MASHLE- アニメ版

『マッシュル-MASHLE-』は、甲本一による人気漫画を原作としたアニメ作品です。魔法が当然の世界で、魔法が使えない主人公マッシュ・バーンデッドが、類まれなる身体能力と知恵を駆使して困難に立ち向かう姿を描いています。第1期は2023年4月から7月、第2期『神覚者候補選抜試験編』は2024年1月から3月に放送されました。続編の制作も決定しており、今後の展開が期待されています。

制作の舞台裏

アニメ化の話が原作者の甲本一に伝えられたのは、単行本6巻が出版される頃でした。アニメ制作には時間がかかると感じた甲本は、完成度の高い作品にするために、制作会社A-1 Picturesと密に連携を取りました。

アニメーションプロデューサーは、A-1 Picturesの中村将太が担当。『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ-』シリーズで制作デスクを務めた経験を活かし、本作でもその手腕を発揮しました。キャラクターデザインは、中村の推薦で東島久志が担当。東島は、自身が描いたキャラクターが多くの人々の協力によって完成されていく過程に感銘を受けたと語っています。

シナリオと構成

シリーズ構成と全話の脚本を担当したのは、脚本家の黒田洋介です。原作の痛快さを活かすことを意識し、原作へのリスペクトを最大限に払いながら脚本を執筆。プロデューサーからの意向もあり、脚本打ち合わせはスムーズに進みました。黒田は、脚本を構築する上で、フィンを重要な存在として挙げており、彼のツッコミが作品をより面白くすると語っています。

映像と演出

監督の田中智也は、アニメ化にあたり、マッシュ独特の雰囲気を表現することに苦心したと語っています。会話のテンポをあえて遅らせたり、瞬きをさせないなどの工夫を凝らし、マッシュの掴みどころのなさを演出しました。また、田中は、第5話のマンドラゴラを調理するシーンや、ドットがマッシュたちと出会うシーンを、キャストが楽しんで演じてくれたため、作画も頑張らなければならないのが大変だったが面白かったエピソードとして挙げています。

キャラクターデザイン

キャラクターデザインを担当した東島は、とにかくかっこよくすることを目標に、立ち姿のシルエットにこだわったと語っています。原作者の甲本からは、マッシュの筋肉に関する資料が提供され、そのこだわりに感銘を受けました。東島は、マッシュのシンプルなデザインゆえに、バランスを取るのが難しかったと振り返っています。

音響へのこだわり

音響監督の本山哲は、幅広い層が視聴することを想定し、音響周りの方針として、見ていて理解しやすいように努めたと語っています。収録では、多くの視聴者に笑いをもたらせるように意識しつつも、本作にはくすっと笑わせる方が向いているため、加減が難しかったと振り返っています。また、ギャグシーンとシリアスな戦闘シーンのBGMの使い分けにも苦労したと語っています。

キャスティング

キャスティングでは、キャラクターの特徴を明確に表現できる声優が選ばれました。主人公マッシュ役には、オーディションで小林千晃が選ばれました。小林は、原作を読み込んでいたことに加え、普段のテンション間で演技したらしっくりきたため、オーディションではあまり考えずに演じたと振り返っています。

ヒロインであるレモン役にはオーディションで上田麗奈が選ばれました。フィン役の川島零士は、原作の時点でも顔芸がすごかったので、オーディションで彼が困っている場面の突込みは、ひたすらに全力で彼の嘆きを代弁することを意識していた。

ランス役の石川界人は、現場でキャラクターに関するディレクションがあまりなかったため、かなり自由に演じたと話しています。ドット役の江口拓也は、彼の表情にどんな感情を乗せられるのかか投げるのが楽しいと話しており、演じる際には「いかにフルマックスでボールを投げ続けられるか」ということを意識していると語っています。

音楽

音楽を担当した横山克は、田中監督から「ただの魔法世界だけの音楽にしたくない」「ギャグもしっかり表現したい」という要望を受け、ヒップホップやラップの要素を取り入れました。ギャグシーンにヒップホップを用いる手法はお笑い番組などでも採用されており、すんなり受け入れられたと振り返っています。

主題歌と反響

第1期のオープニングテーマは岡崎体育の「Knock Out」、エンディングテーマはフィロソフィーのダンスの「シュークリーム・ファンク」です。第2期のオープニングテーマはCreepy Nuts|Creepy_Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」、エンディングテーマは私立恵比寿中学の「トーキョーズ・ウェイ！」です。

特に「Bling-Bang-Bang-Born」は、日本国内外で大きな反響を呼び、オープニング映像でキャラクターが踊る様子は「BBBBダンス」と呼ばれ、YouTubeやTikTokで多くの「踊ってみた」動画が投稿されました。

評価

アニメ版『マッシュル-MASHLE-』は、原作の魅力を最大限に引き出し、笑いと熱いバトルで視聴者を魅了しました。クランチロール・アニメアワード2024では、最優秀コメディ作品賞、最優秀ファンタジー作品賞にノミネートされるなど、高い評価を得ています。

もう一度検索