マッズ・オストベルグ

マッズ・オストベルグ：WRCを駆け抜けたノルウェーの星

マッズ・オストベルグは、1987年10月11日生まれのノルウェー人ラリードライバーです。2004年にラリーキャリアをスタートさせ、2006年には世界ラリー選手権（WRC）に参戦。父モーテンが率いるアダプタ・ワールドラリーチームに所属し、スバル・インプレッサWRCを駆り、WRCの舞台で頭角を現しました。

2007年、スウェーデンラリーでWRC初ステージ優勝を飾ると、スバル撤退後もインプレッサで戦い続け、着実にポイントを獲得していきました。2011年、WRカーのレギュレーション変更を機にMスポーツ・ストバートに移籍。フォード・フィエスタRS WRCで、スウェーデンラリーでいきなり2位を獲得し、才能の高さを世界に知らしめました。同シーズン、最終戦ラリーGBでも2位に入り、年間ランキング6位という好成績を残しました。

2012年にはアダプタチームに復帰。フィエスタを駆り、スウェーデンで3位、ポルトガルで2位と好調を維持し、ポルトガルラリーでは、首位を走っていたミッコ・ヒルボネンが再車検で失格となり、繰り上がりでWRC初優勝という栄冠を手にしました。この年は年間ランキング4位という素晴らしい成績でシーズンを終えました。

2013年はカタール・Mスポーツに移籍し、フォード勢のエースとして期待されましたが、チームメイトのティエリー・ヌービルの活躍に隠れてしまう結果に終わりました。

2014年にはシトロエンへ電撃移籍。セバスチャン・ローブの後継者候補として、クリス・ミークとエースの座を争いました。DS3 WRCで4度の表彰台を獲得し、年間ランキング5位。翌2015年も2度の表彰台を獲得し、年間ランキング4位と安定した成績を残しました。しかし、シトロエンが2017年からの車両開発に注力するため、2016年シーズンはファクトリーチームとしての参戦を見送ったため、オストベルグはチームを離れることになりました。

2016年はMスポーツに復帰。コ・ドライバーをオーラ・フローネにチェンジし、スウェーデンとメキシコで連続3位表彰台を獲得するなど好スタートを切りましたが、その後は精彩を欠き、年間ランキング7位となりました。

2017年はワークスチームへの所属が叶わず、プライベーターとしてMスポーツから新型フィエスタWRCをドライブ。8戦に出場するも最高位5位と、満足のいく結果とはなりませんでした。

2018年にはシトロエンに復帰。当初はスポット参戦でしたが、クリス・ミークの参戦中止により、シーズン後半はセカンドドライバーとして5戦に参戦。フィンランドでは2位表彰台を獲得、オーストラリアでは3位表彰台を獲得するなど、復活を印象付けました。年間ランキングでは10位となりました。

2019年はWRC2プロに参戦。シトロエンC3 R5で3勝を挙げ、圧倒的な強さを見せつけましたが、カッレ・ロバンペラの壁に阻まれ、年間ランキング2位となりました。シーズン終盤には、セバスチャン・オジェのサポートドライバーとしてWRC最終戦にスポット参戦する予定でしたが、オジェのタイトル獲得が絶望的になったため、それは実現しませんでした。

2020年はPHスポーツからWRC2に参戦し、見事チャンピオンを獲得。2021年もWRC2に参戦し、TRT・ワールドラリーチームに移籍。開幕戦クロアチアで優勝を飾るなど好スタートを切りましたが、アンドレアス・ミケルセンに敗れ、年間ランキング2位となりました。

2022年はWRCには参戦せず、ハンガリー選手権に参戦し国内チャンピオンに輝きました。2023年はERC（ヨーロッパ・ラリー選手権）にフル参戦。開幕戦で2位表彰台を獲得するなど、高いパフォーマンスを維持しています。

マッズ・オストベルグは、WRCで数々のドラマを演じ、常にトップレベルで戦い続ける、卓越した才能を持つドライバーです。彼の今後の活躍にも目が離せません。

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