マッチメイク

マッチメイクとは

マッチメイク（Match Make）は、主に格闘技において選手同士の対戦カードを決定する行為を指します。この用語は特にプロレスにおいて重要です。プロレスでは対戦カードの設定にとどまらず、試合の進行や展開を予め計画することも含まれ、これを担当する者を「マッチメイカー」または「ブッカー」と呼びます。

概要

プロレスの興行において、マッチメイカーは選手同士の対戦だけでなく、試合の進行や結末も決定します。一般的には「台本」という形で流れを策定することが多いですが、実際には詳細な内容は口頭で打ち合わせることが一般的です。例えば、試合の途中で10分経過のアナウンスが流れた際には選手Aが選手BをキックでKOするシーンを演出する、といった具体的な流れが予め設定されます。

さらに、マッチメイクはリング上だけでなく、リング外でのストーリー展開（アングル）にも関与します。記者会見での乱闘シーンや挑発合戦なども、マッチメイカーの意図に沿った形で進められることが重要です。

このようにして構築されたシナリオは、興行の話題性や集客力に大きく影響を与えるため、時には複数のマッチメイカーによる合議や外部の脚本家への依頼が行われることもあります。ただし、これにはリスクも伴い、時勢を見誤ると興行全体が困難な状況に陥る可能性があります。

ブックの役割

ブックは、プロレスにおける試合の進行や勝敗の付け方に関する計画書のことを指します。ブッカーはこのブックを作成し、試合を行うレスラーたちはその計画に従いながら試合を進めます。勝敗の詳細な進行については多くの場合、選手同士の判断に任されます。このような進行を極めて自由に行うスタイルは、岡村正史によって「ジャズのアドリブ演奏」に例えられることもあります。

基本的にブックに関する情報は当事者以外には知らされませんが、進行の都合上、音響や照明スタッフに対してはある程度の情報が共有されることがあります。例えば、ドキュメンタリー映画『ビヨンド・ザ・マット』では、ザ・ロックとミック・フォーリーが場外乱闘の際の動きについて打ち合わせをする様子が描かれています。このような文脈において、WWEは商業的な理由からブックの存在を公にしているのです。

日本のプロレス界において、台本の存在が公にされることは少なかったものの、裁判によってその実態が明らかになるケースもありました。例えば、特定の試合において選手間の合意がなかったために乱闘が発生し、その際に裁判所が「通常のプロレス興行では事前に取り決めたシナリオなしに攻撃を行うことは許容されていない」との見解を示しました。

台本の認識と実態

一方で、プロレスにおける台本の存在が語られる事例は多く、著名なレスラーや関係者が自身の著作やインタビューの中でその実態に言及しています。日本においては、プロレス団体自らが台本の存在を明公にしたことはないものの、レスラーたちによる体験談などからその実情が明るみに出ることがあります。

また、キャッチコピーとして「台本重視、安全第一」を掲げるギャグプロレス団体も存在し、台本の存在を逆手に取った笑いを提供しています。プロレスの台本はその特性上、試合の進行やストーリーまで多くの影響を及ぼしますが、その存在をあくまで隠し通す団体も多く、全ての試合に台本があったと証明するのは容易ではありません。

まとめ

結局のところ、マッチメイクやブックはプロレスの根幹に関わる要素であり、これを通じてエンターテインメントとしての面白さや興行の成功が決まるのです。選手やファンにとって、これらの要素を理解することは、プロレスの魅力をさらに引き立てることでしょう。

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