マッテオ・サルヴィーニ

マッテオ・サルヴィーニ：イタリア政治の変革者

マッテオ・サルヴィーニ（Matteo Salvini）は、1973年3月9日生まれのイタリアの政治家です。現在は副首相兼インフラ大臣として、ジョルジャ・メローニ政権を支えています。彼はまた、同盟（Lega）の書記長であり、党を地方政党から国民政党へと導いた立役者としても知られています。支持者からは「カピターノ（Il Capitano Salvini）」の愛称で親しまれています。

初期の経歴

サルヴィーニは、ロンバルディア州で生まれ育ちました。ミラノ大学で歴史学を専攻しましたが、学位は取得していません。学生時代から政治活動に熱心で、新左翼団体に参加した後、ウンベルト・ボッシが率いるロンバルディア同盟（後の北部同盟）に接近しました。彼は同盟内で左派グループに属し、パダーニャ・ナショナリズムを支持していました。1993年にはミラノ市議会議員に当選し、政界でのキャリアをスタートさせました。

同盟書記長として

2013年、サルヴィーニは北部同盟の書記長に就任しました。彼は党の方向性を大きく転換させ、欧州懐疑主義を前面に押し出すとともに、反移民政策を主張しました。また、党名を「同盟（Lega）」に変更し、北部以外の地域でも支持を拡大する戦略を取りました。彼のリーダーシップの下、同盟は国民政党としての地位を確立し、イタリア政治において重要な役割を果たすようになりました。

欧州懐疑主義と国民政党への転換

サルヴィーニは、欧州連合（EU）の政策に批判的な立場を取っています。彼はユーロを「人道に対する罪」とまで言い切り、EUによる内政干渉がイタリアの社会不安と雇用不安の原因であると主張しています。書記長就任後、彼は党の目標を地方分権から反緊縮財政・反移民へと転換させ、EUへの激しい批判を展開しました。このポピュリズム的な方針転換は、ボッシ時代から模索されていましたが、サルヴィーニはより迅速な組織改革を推進しました。

副首相として

2018年、サルヴィーニはジュゼッペ・コンテ政権で副首相兼内務大臣に就任しました。内務大臣としては、移民対策を強化し、不法移民の取り締まりを強化しました。彼の強硬な移民政策は、国内外で賛否両論を巻き起こしました。2022年には、ジョルジャ・メローニ政権で再び副首相兼インフラ大臣に就任し、現在に至っています。

論争と裁判

サルヴィーニの政治キャリアは、常に論争と隣り合わせでした。内務大臣時代には、難民を乗せた船の入港を拒否したとして、職権乱用の疑いで捜査を受けました。2024年12月には、不法移民の上陸阻止について監禁などの罪に問われましたが、裁判所は無罪判決を言い渡しました。

人物像

サルヴィーニは、メディアへの露出が多く、SNSを積極的に活用することで知られています。彼の率直な物言いとポピュリズム的なアプローチは、多くの支持者を引きつけています。また、サッカーファンであり、ACミランのサポーターとしても知られています。

マッテオ・サルヴィーニは、イタリア政治において賛否両論のある人物ですが、その影響力は否定できません。彼のリーダーシップの下、同盟は国民政党としての地位を確立し、イタリア政治の新たな潮流を築きつつあります。

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