マツノ書店

マツノ書店について

マツノ書店は、山口県周南市で長い歴史を持つ古書店です。初代店主である松村勇が行商の貸本屋としてスタートし、時が経つにつれて古書店としての地位を確立しました。現在の店主は3代目の松村健が担当しています。

店の移転と成り立ち

かつては徳山駅の北側に位置していましたが、1960年代半ばに近鉄松下百貨店の隣の路地に移転。その後、2020年10月31日には「徳山駅前地区市街地再開発事業」の関係で、現在の周南市銀南街4の徳山銀南街ビル1階へ新たに移転しました。

特徴的な書籍と復刻出版

マツノ書店は山口県にゆかりのある地誌や方言、文化に関連した書籍や、長州藩をテーマにした幕末史に関する文献を多く取り揃えています。特に1970年代からは幕末史の重要な原典資料を復刻出版しており、2018年までに280冊以上の出版を実現しました。3代目店主になってからはこの復刻出版は終了していますが、その名残は今も豊富な蔵書に反映されています。

受賞歴と影響力

マツノ書店は、その長い歴史の中で数々の賞を受賞しています。2007年には第55回菊池寛賞を受賞し、さらに2010年には第67回中国文化賞を受賞しました。これらの受賞は、店が地域文化に与えた影響を物語っています。

2代目店主の功績

2代目店主の松村久は1968年に父から店を引き継ぎ、1960年代から1970年代にかけて「マツノ読書会」と呼ばれる貸本業も営みました。この時、普通の漫画本だけでなく、新刊の小説やエッセイ、ノンフィクションの一般書も扱い、2泊3日で1冊100円から貸し出すという独自の工夫を凝らしていました。特に、この活動の一環として発行していたミニコミ「らんぺる」は、地域文化の重要な拠点になりました。

しかし、著作権の問題もあって、1970年代半ばにはこの貸本事業は終了しました。松村久はその後も古書店の活動を通じて、『六時閉店』や『本の周辺』といった著作を発表し、読書界でも知られる存在になっていきました。

主要な復刻出版物

マツノ書店が手掛けた復刻出版の中には、歴史的に重要な資料が数多く含まれています。例えば、福本椿水の『松陰余話』や玖村敏雄の『吉田松陰』、さらには随所で引用される『木戸孝允日記』全3巻など、幕末に関する貴重な書籍が多岐にわたります。これらの書籍は、学術的な価値のみならず、一般の読者にも重要な資料として愛用され続けています。

まとめ

このように、マツノ書店はただの古書店ではなく、地域文化の保護と発展に寄与してきた歴史的な拠点です。今後もその伝統を守りながら、さらなる挑戦を続けることでしょう。古書が持つ魅力と知識を多くの人々と共有する役割を果たし続けることが期待されています。

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