マドモアゼル モーツァルト (アルバム)

サウンドトラック『マドモアゼル モーツァルト』の世界

『マドモアゼル モーツァルト』は、音楽界の巨匠・小室哲哉が1991年に発表したミュージカルのサウンドトラックです。これまでの小室の経歴から見ると、彼が日本のミュージカル文化にどのように関与していくことになったのかが興味深いポイントです。音楽座からオファーを受けるまでは、劇団四季以外にも多くのミュージカル劇団が存在していることさえ知らなかった小室は、その後音楽座の公演を観て感銘を受け、自らの楽曲制作へと取り組むことになりました。

制作は彼のグループTMネットワークの「EXPO」のレコーディングが終わった後、約1週間で行われました。ミュージカルの上映時間は約2時間で、この中で使用される楽曲が14～15曲に及びます。実際、小室はミュージカル向けの楽曲制作の流れ作業において、曲を作った後から脚本や舞台美術の要素を組み合わせつつ、既に作成した曲の構成を変えたりアレンジを施したりしました。ときには、シーンごとの演出を考慮して、新たなアイデアを取り入れながら構築していく過程は、実にダイナミックなものでした。最終的なレコーディングが舞台初日の2日前に行われたというから、彼の集中力には驚かされます。

最初の楽曲制作では、作品の台本を念頭に置きながらも、視覚的な要素を排除し音楽に特化して創作することを選びました。これにより、ミュージカルで使用する楽曲とアルバム収録用の楽曲を、柔軟に切り替えながら形成していく作業が進められました。その後、舞台用の音源制作が完了すると、新しくアルバム用のセットリストを組み直し、演奏し直そうとする姿勢で取り組みました。この過程を通じて、小室は作曲家としての自信を再確認しつつも、ツアーのスケジュールとも並行して進めていたため、体調を崩すこともありました。

彼はミュージカル制作を通じて、「場面や雰囲気が多様に変化する中で楽曲を作る感覚の重要性」を強く実感しました。シングル制作が単一のシーンを強調するのに対して、ミュージカルの楽曲は多層的な要素を必要とすることを理解したのです。楽曲の制作過程では、モーツァルトのフレーズをサンプリングしながら、演出やテーマに合った構成が追求されました。

曲目一覧

1. マドモアゼル・モーツァルトのテーマ
- ミュージカルのオープニングにふさわしい華やかなテーマ。
2. Feel The Musical Box
- ハイドンの「びっくりシンフォニー」にインスパイアを受けた楽曲。
3. ある音楽家へのエピタフ
- 幻想的なイメージで人生の起伏を描写。
4. 永遠と名づけてデイドリーム
- 誰にでも親しみやすいラブソング。
5. Love 〜insert:Sonata for Piano No.11 K 331 by Wolfgang Amadeus Mozart〜
- コンサートに向けたラブソング。
6. Mozart In The House
- モーツァルトの要素を取り込んだ楽曲。
7. Great Happenings
- シーンが次々に変化するインスト曲。
8. サリエリのテーマ
- サリエリの悲哀と男性美を描いた楽曲。
9. 1991
- 小室の成長を記録する意味が込められた作品。

サウンドトラック全体を通じて、小室哲哉の音楽的才能とミュージカルの醍醐味を融合させたこの作品は、その後の日本の音楽シーンにも影響を与えたことでしょう。

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