マニラ・ライトレール・トランジット・システム

マニラ・ライトレール・トランジット・システム (LRT) とマニラ・メトロレール・トランジット・システム (MRT)

マニラ・ライトレール・トランジット・システム（Manila Light Rail Transit System、通称マニラLRT）は、フィリピンのマニラ首都圏で運行されているライトレールシステムです。ただし、大量高速輸送システムであるラピッド・トランジットとして分類されることもあります。

運営は、ライト・レール・トランジット・オーソリティ (LRTA) が行っています。LRTには、主に南北方向を走るLRT1号線と、東西方向を走るLRT2号線の2路線があります。一方、マニラ・メトロレール・トランジット・システム（MRT）のMRT3号線は、民間企業のMetro Rail Transit Corporation (MRTC) によって建設され、フィリピン運輸省が運営しています。MRT3号線は主に高架鉄道として運行されています。

各路線の概要

LRT1号線: 全長約20km、20の駅を持つ南北路線です。近年2駅が新設され、MRT3号線との接続駅も建設中です。しかし、システムの違いから相互乗り入れは困難とされています。
LRT2号線: 全長13.8km、11の駅を持つ東西路線です。LRT1号線とは、Doroteo Jose駅とRecto駅で乗り換えが可能です。
MRT3号線: エドゥサ通り沿いを走る高架鉄道で、LRT1号線エドゥサ駅、MRT3号線タフト・アベニュー駅、LRT2号線クバオ駅、MRT3号線アラネタ・センター-クバオ駅で乗り換えが可能です。

乗車券

2015年7月20日より、非接触式ICカード「Beep」が導入されました。Beepカードには以下の2種類があります。

片道乗車券: 購入当日のみ有効です。
チャージ式カード: 20ペソでカードを購入後、10ペソから10,000ペソまでチャージ可能です。LRT1号線、LRT2号線、MRT3号線で共通利用できるほか、一部バス路線、高速道路料金所、コンビニエンスストア（ファミリーマート、サークルKなど）でも電子マネーとして利用できます。

歴史

マニラにおける軌道交通の検討は20世紀初頭から始まりました。1905年には路面電車が運行されましたが、第二次世界大戦で運行を停止し、施設も大きな被害を受けました。戦後、路面電車は再建されず、ジプニーが主な交通手段となりました。1960年代には交通渋滞が問題となり、公共交通機関の導入が再び検討されるようになりました。

1970年代には、日本の海外技術協力事業団（JICAの前身）が通勤鉄道や高速道路の導入を提案しました。1970年代後半には、世界銀行がLRTの研究を行い、現在のマニラLRTの構想が示されました。1980年にはLRTAが設立され、1981年にLRT1号線の建設が始まり、1984年に開業しました。その後、乗客数の増加に対応するため、LRT1号線の増強事業が実施され、日本政府のODAによって支援されました。

LRT2号線は、1996年から日本政府がJICAを通じて建設を支援し、2003年に全線が開業しました。MRT3号線についても、日本企業が保守作業を支援しており、LRT1号線も阪急電鉄やJICAが支援するなど、日本の貢献が大きいです。

延伸計画

LRT1号線、LRT2号線では延伸計画があります。

LRT1号線: 南側へ11.4kmの区間に10駅を増設する計画が承認されています。
LRT2号線: 東側へ4.0kmの区間に2駅、西側へ8.0kmの区間に3駅を増設する計画が承認されています。

新規路線計画

新たな路線として、MRT7号線とMRT8号線の計画があります。

MRT7号線: LRT1号線とMRT3号線が共用するノース・アベニュー駅を起点とし、23kmの区間に14駅を設ける計画です。2016年に着工し、2020年開通予定です。
MRT8号線: フィリピン国鉄サンタ・メサ駅を起点とし、16.8kmの区間に13駅を設ける計画です。

経営統合

MRT3号線の運営権をMRTCからLRTAに移譲し、経営統合する計画があります。

保有車両

車両は、主にヨーロッパやアジア（日本、韓国など）で製造されたものが使用されています。

LRT1号線: 1000形（BN製）、1100形（現代精工製）、1200形（近畿車輛・日本車輌製造製）、13000形（CAF製）
LRT2号線: 2000形（現代ロテム製）

関連項目

フィリピンの鉄道
フィリピン国鉄
阪急電鉄

外部リンク

Light Rail Transit Authority (LRTA) 公式サイト （英語）
MMG Station 公式サイト （日本語）

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