現代ロテム

現代ロテム株式会社は、韓国を代表する総合車両メーカーであり、現代自動車グループに属しています。同社は鉄道車両の製造・販売だけでなく、軍用車両の生産も手掛ける多角経営企業として知られています。

現代ロテムの起源は、1999年に現代精工、大宇重工業、韓進重工業の鉄道車両部門が統合されたことにあります。これは、アジア通貨危機後の韓国経済の構造改革の一環として行われたものでした。当初は「韓国鉄道車輌株式会社」という名称でしたが、2002年に「株式会社ロテム」に、そして2007年には現在の「現代ロテム株式会社」へと社名変更しています。社名変更の背景には、旧社名の発音に「韓国が損をする」というネガティブな連想があるのを避ける狙いがあったとされています。

現代ロテムは、韓国国内の鉄道事業者だけでなく、世界各国に鉄道車両を供給しています。韓国国内では、韓国鉄道公社（KORAIL）向けの車両製造を多数手がけており、高速鉄道KTX、通勤電車、機関車など幅広い車両を供給しています。また、ソウル交通公社、釜山交通公社、仁川交通公社など、主要都市の地下鉄車両も製造しています。

海外への進出も積極的に行っており、台湾、トルコ、ブラジル、カナダ、ニュージーランド、アメリカ合衆国、ウクライナなど多くの国々に鉄道車両を供給しています。特に、台湾への進出は、1994年に台湾鉄路管理局向けに車両を受注したものの、その後は訴訟問題なども絡んで撤退していましたが、2018年に再び大型受注を獲得するなど、近年活発化しています。また、インドへの地下鉄車両供給や、ブラジルでの高い市場シェアなども注目されます。

現代ロテムの事業は鉄道車両だけに留まりません。軍用車両の製造も重要な事業分野であり、戦車などの生産で高い技術力を誇っています。米国の軍事専門誌『ディフェンスニュース』の世界100大防衛産業ランキングに名を連ねるなど、その軍需事業の規模も大きいことがわかります。

現代ロテムの事業拠点としては、慶尚南道昌原市に大規模な鉄道車両製造工場を有しています。この工場では、最新の技術と設備を用いて高品質な車両が生産されています。

現代ロテムの沿革を簡単にまとめると以下のようになります。

1999年7月：現代精工、大宇重工業、韓進重工業の鉄道車両製造部門統合により発足（社名：韓国鉄道車輌株式会社）
2001年10月：現代自動車グループ傘下に入る
2002年1月：社名を「株式会社ロテム」に変更、軍需事業部門も継承
2007年：社名を「現代ロテム株式会社」に変更

現代ロテムは、韓国経済の成長を支える重要な企業の一つであり、その技術力と国際競争力はますます高まっています。今後、グローバルな鉄道市場における存在感をさらに強めていくことが期待されます。

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