マニラ連続保険金殺人事件

マニラ連続保険金殺人事件

マニラ連続保険金殺人事件は、2014年から2015年にかけてフィリピンの首都マニラで発生した、日本人男性2名が相次いで射殺された事件です。この事件は、保険金殺人として立件され、日本国内でも大きな注目を集めました。

事件の概要

被害者はいずれも山梨県在住の男性で、一人は整骨院経営者のA（当時32歳）、もう一人は会社役員のB（当時42歳）でした。彼らはそれぞれ、主犯とされるI（山梨県笛吹市在住）の知人でした。

2014年10月18日、Aがマニラで射殺されました。翌2015年には、Bも同様に射殺されています。被害者2名には、Iが大株主である会社を受取人とする多額の死亡保険金がかけられていました。刑事裁判では、Iらが現地で雇ったヒットマンによって、2人が拳銃で射殺されたと認定されています。

事件の経過

事件は周到に計画されたものでした。

Aに対する詐欺・殺人

Iはまず、共犯者XにBの殺害を持ちかけましたが、後にAをターゲットに変更。Aに300万円を騙し取り、それを殺害の報酬に充てました。Aはフィリピンに渡航後、ヒットマンに射殺されました。

Yに対する殺人計画

A殺害後、Iは共犯者のYに保険金をかけて殺害しようとしましたが、Yが行方不明になったため、計画は頓挫しました。

Bに対する殺人

その後、Iは再びBをターゲットに定め、同様の手口でフィリピンに連れ出し、ヒットマンに殺害させました。

逮捕・起訴

2016年5月12日、山梨県警はI、X、Y、Zを逮捕。甲府地検はIとXをA・Bに対する殺人罪で、YをAに対する殺人罪で、ZをAに対する殺人幇助罪でそれぞれ起訴しました。

刑事裁判

X・Y・Zに対する判決

共犯者であるX、Y、Zには、それぞれ懲役刑が言い渡されました。Xは無期懲役、Yは懲役15年、Zは懲役6年となりました。

Iに対する裁判

Iは一貫して無罪を主張しましたが、甲府地裁は2017年8月25日、Iに死刑判決を言い渡しました。裁判長は、Iが事件の首謀者であり、計画的に犯行を主導したと認定しました。

Iは判決を不服として控訴しましたが、東京高裁は2019年12月17日に控訴を棄却。Iは最高裁に上告しましたが、2023年6月5日、最高裁も上告を棄却し、Iの死刑が確定しました。

死亡

死刑確定からわずか2か月後の2023年8月24日、Iは東京拘置所で病死しました。49歳でした。

事件の背景と影響

本事件は、金銭欲に駆られた人間が、周到な計画と冷酷な手段で人命を奪った、極めて悪質な事件です。保険金殺人という犯罪の残忍さとともに、事件に関わった人々の人間性、そして司法の判断について、社会に大きな衝撃を与えました。

関連項目

日本における死刑囚の一覧 (2020年代-)
日本において獄死もしくは恩赦された死刑囚の一覧

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