マニング・ワードル

マニング・ワードルの歴史

マニング・ワードル（Manning Wardle & Co.）は、かつてイギリス、ウェスト・ヨークシャー州リーズのハンスレットに位置していた蒸気機関車製造会社です。この会社は19世紀中頃から20世紀初頭にかけて、多くの特注機関車を製造していました。リーズは、蒸気機関車の製造が行われた最初期の中心地の一つであり、その歴史は1812年にまで遡ります。当時、マシュー・マレーが商業的に成功した機関車「サラマンカ」を製造したことが始まりで、1856年までには数社の機関車メーカーが集まりました。

前史

この地で著名な機関車メーカーには、E・B・ウィルソン社やハンスレット・エンジン社があります。1858年にE.B.ウィルソンが倒産すると、そのデザインはマニング・ワードルによって買収されました。マニング・ワードル社は1840年に設立されたボイン工場を運営しており、競合する同業他社とともに蒸気機関車の設計を発展させていきました。特にこの会社は、顧客のニーズに合わせた機関車に特化し、標準軌や狭軌の機関車を製造しました。これには、ヨーロッパ、アフリカ、インド、オーストラリア、南アメリカなどへの輸出も含まれます。

凋落と終焉

しかし、マニング・ワードルは伝統的な製品作りに固執し、効率的な大量生産技術を取り入れなかったため、次第に競争力を失っていきました。最終的には2,000両以上の蒸気機関車を生産しましたが、1927年に製造を終了しました。最後に完成した機関車は、1926年8月にラグビー・セメント工場向けに製造された製造番号2047であり、この機関車は現在キッダーミンスター鉄道博物館で保存されています。また、1857年に製造されたアルゼンチン初の機関車「La Portena」は、動態復元され、2007年に記念運転が行われました。

事業の継承

1926年に機関車の製造を中止した後、マニング・ワードルの設計図や顧客はキットソン社へ引き継がれました。キットソンは1938年までにマニング・ワードルの設計に基づく機関車を23両製造しました。さらに、ロバート・スティーブンソン・アンド・ホーソンへも引き継がれ、追加で5両が製造されました。現在、マニング・ワードルの設計はスコットランドのハンスレット・バークレー社に受け継がれており、歴史的な機関車に関する知的財産はハンスレット・エンジン社が保有しています。1999年には、リントン・アンド・バーンステイプル鉄道を保存するため、マニング・ワードルの商標名を持つ会社が設立されました。

日本との関わり

マニング・ワードルの製品が日本に輸入されたのは、明治期の1873年と1881年のことです。輸入されたのはバラストエンジンと呼ばれる建設工事用機関車3両で、後に鉄道院の1290形に改造されたもので、「善光」との愛称で知られています。そのうち1両は、さいたま市の鉄道博物館に保存展示されています。

このように、マニング・ワードルは多くの機関車製造を通じて、その技術やデザインが後世に引き継がれ、多くの鉄道愛好家に愛されています。

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