マヌエル・ホセ・エストラーダ・カブレーラ

マヌエル・ホセ・エストラーダ・カブレーラ（1857年11月21日 - 1923年9月24日）は、グアテマラの政治家、法律家であり、1898年から1920年までグアテマラの大統領を務めました。22年間にわたり独裁的な権力を握り、文民政治家でありながら、軍を巧みに操り、絶大な権力を行使しました。彼の治世は、グアテマラの政治、経済、社会に大きな影響を与えました。

エストラーダ・カブレーラは、ホセ・マリア・レイナ・バリオス大統領暗殺後、1898年に臨時大統領に就任しました。当初は道路や鉄道の建設、教育や文化の重視など、進歩的な政策を打ち出しましたが、徐々に独裁色を強めていきました。

在任中、彼はアメリカのユナイテッド・フルーツ社と結託し、グアテマラのバナナ産業を独占させました。鉄道、港湾、通信網も支配下に置き、グアテマラ経済を大きく左右しました。1903年には憲法を改正し、大統領の再選禁止条項を撤廃。翌年には元大統領のマヌエル・リサンドロ・バリージャスを破り再選を果たしました。1904年には、グアテマラ市とプエルト・バリオスを結ぶ鉄道建設をユナイテッド・フルーツ社に依頼し、99年間にわたる特権を与えました。

1908年、選挙で敗北後にメキシコへ亡命していたバリージャスを暗殺させました。大統領府の近衛兵はバリージャスの暗殺に激怒し、エストラーダ・カブレーラを拉致して一斉射撃を加えましたが、彼は奇跡的に命を取り留めました。しかし、報復として暗殺参加者を家族や友人を含めて粛清し、野党指導者もすべて刑務所に送るなど、徹底的な弾圧を行いました。

1920年、首都を襲った地震の後、エストラーダ・カブレーラに対する非難が高まり、自然発生的なデモが発生しました。議会は大衆の怒りを背景に「精神的な理由で職務を続行できなくなった」と宣言し、彼を罷免しました。裁判所は彼を狂人と認定し、財産を没収した上で投獄しました。1923年、エストラーダ・カブレーラは獄中で死去しました。

彼の独裁的な政治手法と、ユナイテッド・フルーツ社との癒着は、グアテマラ社会に大きな歪みをもたらしました。また、自身の母親の誕生日を国の祝日とするなど、奇行も多く、国民からの反感を買いました。

関連作品

* ミゲル・アンヘル・アストゥリアス著 『大統領閣下』 （小説） - エストラーダ・カブレーラの独裁政治を題材とした作品。

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