マネー (ピンク・フロイドの曲)

ピンク・フロイド「マネー」：狂気の象徴、拝金主義への痛烈な批判

ピンク・フロイドの1973年発表のアルバム『狂気』に収録された「マネー」（Money）は、ロジャー・ウォーターズ作詞・作曲による楽曲です。アルバムのB面冒頭を飾り、シングルカットもされました。アメリカではシングルとしてリリースされ、全米13位を記録し、アルバムの世界的ヒットを牽引しました。

特徴的なサウンドと構成

「マネー」の最大の特徴は、その独特なリズムとサウンドです。イントロでは、レジの音や小銭の音が繰り返し鳴り響き、ドラムの代わりのようにテンポを刻んでいます。そこに7/4拍子の特徴的なベースラインとエレクトリックピアノが加わり、楽曲が展開されていきます。ちなみに、この印象的な小銭のコラージュは、ニック・メイスンが小銭を紐に通して音を立てて録音したものです。コーラス部分では、リズムが4/4拍子に変化します。

拝金主義をユーモラスに批判した歌詞

歌詞は、拝金主義をユーモラスに批判した内容となっています。「金は諸悪の根源」という一節に、そのメッセージが集約されています。しかし、メロディーは非常にポップでキャッチーであり、ピンク・フロイドの楽曲の中でも特に聴きやすい曲の一つと言えるでしょう。ドキュメンタリー番組『クラシック・アルバムズ 狂気』では、1971年末に制作された「マネー」のデモ音源が紹介されています。

ライブでの人気と影響

「マネー」は、ピンク・フロイドのライブにおいて非常に人気のある楽曲です。1972年1月から『狂気』組曲の一部として演奏され、1977年の『アニマルズ』ツアーではアンコールナンバーとして演奏されました。デヴィッド・ギルモアがバンドを主導するようになってからも、ライブのハイライトとして演奏され続けています。

ローリング・ストーン誌の「オールタイム・グレイテスト・ギター・ソングス100」では69位にランクインしています。また、日本の弦楽四重奏団であるモルゴーア・クァルテットが弦楽四重奏に編曲し、カバーしています。

映画『ピンク・フロイド ザ・ウォール』では、主人公の子供時代、授業中にノートに書いた詩を教師が読み上げるシーンで、「マネー」の一節が使われています。

「マネー」は、その革新的なサウンドと社会的なメッセージによって、時代を超えて愛されるピンク・フロイドの代表曲の一つです。

もう一度検索