マボロシ変太夫

『マボロシ変太夫』

概要

『マボロシ変太夫』は、著名な漫画家藤子不二雄が描いた日本の漫画作品で、1971年の8月から1972年の3月まで、少年画報社が発行する『週刊少年キング』で連載されていました。全32話から成る本作は、異色のキャラクターとそれに伴うドタバタ劇が魅力の一つです。

物語は、前半部分（第1話から第16話）で展開される冒険と謎の町「マボロ市」に迷い込む少年・雲野ワクオの視点を中心に描かれています。ワクオは、父の運転する車で田舎へ帰る途中、謎の霧に包まれた奇妙な町に辿り着きます。そこで彼は、主人公の変太夫と出会い、様々な個性的な住民たちとのコミカルな出来事に巻き込まれていきます。

後半部分（第17話から第32話）では、変太夫が町を離れて一人旅に出る「ひとり旅シリーズ」に焦点が当てられ、彼が各地で引き起こすさまざまな騒動を描いています。このように後半では物語のスタイルが大きく変化し、多様な冒険が展開されます。

連載当時には、カネボウハリスから「マボロシ変太夫フーセンガム」が販売されており、多くのファンに親しまれていました。また、1989年から1991年にはNHKで放送されたアニメ『パラソルヘンべえ』の主人公・ヘンべえは、変太夫を基にしたキャラクターとして登場しています。

登場キャラクター

• - 変太夫（へんだゆう）

変太夫は、物語の主人公で、マボロ市に住む個性的なキャラクターです。彼の特徴は大きな口とすきっ歯で、両目の焦点が定まらない一風変わった容姿です。いつも鼻水をたらしている姿が印象的で、手にしている「マボロシ・パラソル」は、様々な能力を発揮するマジックアイテムです。ワクオとの交流を通じて、彼の性格は一層複雑になり、時には紛争を仲裁し、またあるときは騒動を引き起こします。後半では、ひとり旅をすることで新たな冒険を楽しむ姿が描かれます。

• - 雲野ワクオ（くもの ワクオ）

ワクオは本作の副主人公であり、普通の小学生です。彼は家族と共に夏休みに帰省中、偶然にもマボロ市に迷い込み、奇妙な住民たちに振り回されることになります。その成長と冒険を通じて、彼の影響力や友情の大切さを学ぶ姿が描かれます。

• - トリ犬（トリいぬ）

変太夫のペットであるトリ犬は、長い耳を持ち、空を滑空しながら飛ぶことができるユニークな犬です。トリ犬は物語にコミカルな要素を加え、変太夫との関係性が楽しませてくれます。

• - ジャーニー

前衛芸術を追求する画家で、マボロ市の住民です。彼はアフロヘアと特徴的な眼鏡を持ち、独特なキャラクターを形成しています。

• - ケダラケ

ケダラケは毛むくじゃらに覆われた不思議な生物で、目と鼻だけが顔を出している謎のキャラクターです。彼の独特な喋り方も楽しみのひとつです。

• - 狂犬狂太郎（きょうけんきょうたろう）

彼は一話だけ登場する登場キャラクターで、安孫子が過去に連載していた『狂人軍』からのキャラクターでもあります。その振る舞いは突拍子もなく、笑いを誘います。

単行本

『マボロシ変太夫』は、いくつかの単行本として発売されており、全話を収録した版もありますが、収録されていないエピソードも存在します。特に、2020年に電子書籍化された版がファンから好評を得ています。

このように、『マボロシ変太夫』は、藤子不二雄ならではのユーモアと独創性に満ちた作品として、多くの人々に愛され続けています。

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