ママ (引用)

ママとは何か

「ママ」とは、編集用語の一つであり、原文のまま引用を行う際に使われる特別な記号です。特に誤字や不適切な文脈などが含まれている場合でも、あえてそのままの形で引用することを示すためにこの表記が用いられます。一般的には「原文ママ」と略すことが多く、読者に対して著者または編集者がその表記を意図的に選んだことを明示的に伝えます。

ママの使われ方

この表記の目的は、誤字などがあった場合でも、読者に対してそれが誤植であったり、編集者の見逃しであるのではなく、原文をそのまま引用した結果であることを理解させることです。具体的には、縦書きの場合は右側に、横書きの場合は上部にルビとして配置されます。このように明示することにより、引用文の信用性が維持され、読者はその情報源に対して忠実な形で文を受け取ることができます。

歴史的背景

「ママ」という表記は江戸時代の筆写本の中でその用法が見られ、活字印刷の時代に入った後もこの表現は使われ続けました。この古くからの慣習は、本文中の情報をなるべく正確に伝えるために重要な役割を果たしています。現代においてもその用途は変わらず、編集者や著者にとっての大切な文化的財産となっています。

西洋の対応

一方、西洋の文章では同様の意味を持つ表記として (sic) または [sic] が使われます。これはラテン語の「sic」を略したもので、「このようにある」という意味を持ちます。この表現は、ラテン語で「sic erat scriptum」と言い、直訳すると「このように書かれていた」という意味です。西洋の文書でも、原文の正確な引用を意図する場合には、このような記号が活用されています。

まとめ

このように、「ママ」という表記は単なる記号に留まらず、編集作業における重要なコミュニケーション手段であることがわかります。著者や編集者の意図を明確にし、誤字をそのまま引用することで読者に正確な情報を伝える役割を担っています。その歴史と用法を理解することは、文献を正しく読み解くための基礎とも言えるでしょう。読者が文献を読み進める際に、「ママ」の存在を意識することで、より深い理解が得られるかもしれません。

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