マヤパン

マヤパンの遺跡

マヤパン（Mayapan）は、メキシコのユカタン州に位置する後古典期のマヤ文明の遺跡です。メリダの南東約40km、チチェン＝イッツァの西方100kmにあり、1220年代後半から1440年代まで、ユカタン半島の政治的な中心地として機能していました。この遺跡には、古代マヤ人の生活や文化を反映した多くの痕跡が残されており、当時の歴史的背景を知る上で重要な地点です。

歴史的背景

1221年、ユカタン地方ではチチェン＝イッツァの支配者に対する反乱が発生しました。この反乱は短期間の内戦を引き起こし、その結果、さまざまな有力な都市や貴族が連携して新たな統治機構を形成しようとしました。彼らは、チチェン＝イッツァの支配者を倒したフナク＝セエル将軍の根拠地近くに新しい首都を建設することを決め、その名を「マヤの旗」を意味するマヤパンとしました。

マヤパンの初代王には、反乱の中心にいたココム家の家長が選ばれましたが、他の貴族や地方の有力者も自らの血族を政府に参加させ、連合体を形成することになりました。この連合体は、200年以上もの間、ユカタンの政治に影響を与え続けました。

政治的混乱と衰退

1441年、貴族のアフ＝シュパンがマヤパンのココム家の政治的な動きに反発し、反乱を起こしました。この反乱は、ココム家の多くの一族が命を落とす結果を招き、マヤパンは略奪されて焼け落ち、多くの人々が去ることになりました。これにより、ユカタン地方は都市国家間の戦争状態に突入しました。

遺構の特徴

現在、マヤパンの遺跡は華やかなマヤの遺跡としてのイメージからはかけ離れています。これは、反乱によって多くの建物の屋根が破壊されてしまったことが一因です。また、チチェン＝イッツァやウシュマルに見られるような大規模な記念碑的建造物も存在しないため、全体的に地味な印象を与えます。
中心に位置するピラミッドはチチェン＝イッツァの「カスティーヨ」の縮小版であり、他にもいくつかの小規模な神殿や宮殿が存在しています。公共の建物はほとんど見当たらず、広さ4km²の城壁に囲まれた都市内部には約3500の住居跡が見られ、推計される人口は11000人から15000人に達していたと考えられています。

考古学的調査

1950年代にはカーネギー研究所によって5年間にわたる考古学的調査が実施され、その後もグリニル大学の指揮によるさらなる調査が行われました。これらの調査により、マヤパンの歴史や文化についての理解が深まり、遺跡の重要性が再認識されています。マヤパンは、マヤ文明の政治的な変遷や社会構造について研究する上で貴重な資源となっています。

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