マライタ州

マライタ州（Malaita Province）

ソロモン諸島中央部に位置するマライタ州は、同国を構成する行政区画の一つであり、地理的・人口的に極めて重要な地位を占めています。主要な島であるマライタ島を中心に、南マライタ島としても知られるマラマシケ島、遠隔のシカイアナ環礁、そしてダイ島など、複数の島嶼から成り立っています。

州の行政機能は、最大の島であるマライタ島の西岸に位置する町、アウキに集約されており、ここはマライタ州の政治的・経済的な中心地となっています。

地理と人口

マライタ州は多様な地理的特徴を持ち合わせています。主島のマライタ島は比較的大きな島であり、豊かな自然を有しています。マラマシケ島もまた重要な島の一つです。一方、シカイアナ環礁は首都ホニアラから遠く離れた環礁であり、独特の文化を持つポリネシア系の住民が暮らしています。ダイ島なども州の構成要素となっています。

2019年の国勢調査によると、マライタ州の人口は173,347人を数え、これはソロモン諸島全土の州の中で最多の人口です。この圧倒的な人口規模は、州が国内政治において無視できない影響力を持つ大きな要因の一つとなっています。多くの人口を抱えるがゆえに、州の社会開発やインフラ整備はソロモン諸島全体における課題でもあります。

近年の政治的動向

マライタ州は近年、ソロモン諸島の中央政府と州政府間の政治的な緊張の舞台として国内外の注目を集めました。特に、2019年にソロモン諸島中央政府が、長年にわたり外交関係を維持してきた中華民国（台湾）と断交し、代わりに中華人民共和国との国交を樹立するという決定を下したことが、大きな波紋を呼びました。

この外交方針の転換に対し、マライタ州政府、特に当時の州長ダニエル・スイダニ氏は強い反発の姿勢を示しました。マライタ州は伝統的に台湾との関係が深く、州政府は中央政府の方針に同意せず、独自の外交姿勢を維持しようとしました。

この対立を背景に、スイダニ州長は2020年9月2日、マライタ州の独立の是非を問う住民投票を実施する意向を突如表明しました。この大胆な動きはソロモン諸島全土に衝撃を与えましたが、中央政府は直ちにこれに反応。州政府には独立を問う住民投票を実施する法的権限はないとし、スイダニ州長の提案は違法行為にあたるとしてこれを認めない姿勢を明確にしました。中央政府は、ソロモン諸島憲法の下で統一された国家であることが強調されました。

政治的な緊張が続く中、スイダニ州長に対しては汚職に関与した疑いが持ち上がりました。そして、2023年2月6日、マライタ州議会においてスイダニ州長の不信任決議が提出され、可決されたことにより、彼は州長の職を解かれることとなりました。この解任劇は、中央政府との対立に加え、州内部の政治力学も影響した結果と見られています。

スイダニ氏の解任後、新たな州長を選出するための動きが進められ、そのわずか4日後の2023年2月10日には、無所属のマーティン・フィニ氏が後任の州長に就任しました。これにより、州政府のトップが交代し、一連の政治的混乱は一定の収束を見せました。

マライタ州は、その地理的な重要性、国内最多の人口、そして近年の中央政府との政治的対立という要素から、ソロモン諸島における今後の政治・社会動向を占う上で引き続き注視されるべき州と言えるでしょう。

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