マラボン

マラボン（フィリピン語: Lungsod ng Malabon）は、フィリピンのマニラ首都圏に位置する都市です。2010年の国勢調査によると、人口は約35.3万人に達しています。マニラの真北に位置し、住宅地と工業地帯が混在しています。その人口密度は首都圏内でも非常に高く、面積は15.714平方キロメートルです。

マラボンは、カローカン、ナヴォタス、ヴァレンズエラとともに、マニラ首都圏のCAMANAVA地区を形成しています。カローカンとは南から東にかけて、ナヴォタスとは西で、ヴァレンズエラとは北で接しており、北西にはブラカン州のオバンドがあります。

歴史

マラボンという名称は、伝説によると「マラミン・ラボン（多くの筍）」に由来するとされています。元々は「タンボボン」と呼ばれていました。1599年5月21日、アウグスティヌス修道会によって発見されました。1627年から1688年まではトンド州の司法管轄下にありました。

1851年には、スペイン王が所有するフィリピン煙草会社の傘下であるラ・プリンセサ・タバカレラが設立されました。1878年には、フィリピンにおける製糖業の先駆けであるマラボン砂糖会社が設立され、これによりマラボンは経済的に重要な町となりました。1882年には、新聞「ラ・インデペンデンシア」がマラボンで初めて印刷されました。

1901年6月11日、マラボンは新設されたリサール州に組み込まれ、正式に自治体となりました。その後、マラボンはナヴォタスと合併しましたが、1906年1月16日にナヴォタスから分離し、初代市長にはビセンテ・ビロンコが就任しました。1975年11月7日、マラボンはマニラ首都圏に編入され、2001年4月21日に市に昇格しました。

前市長のティト・オレタ氏（2012年に職務中に逝去）の時代には、11階建てのマラボン市役所やオレタ・スポーツ複合施設などの重要な近代建築物が建設されました。

地理

マラボンは、フィリピンで最も人口密度の高い都市の一つです。標高の低い平地が大部分を占めており、洪水が頻繁に発生します。特に高潮、豪雨、川やダムの決壊などが原因となる洪水被害が深刻です。CAMANAVAの4都市はトゥラハン川などで相互に接続されており、かつては川を船が行き交い、川釣りが主要な産業でした。水深が深く水質の良い川では多種多様な魚が獲れ、川岸では米や野菜が栽培されていました。しかし、農地は工場へと変わり、無許可で居住する人々が増加したことで、洪水問題は深刻化しています。近年、洪水の回数と規模は増大しており、川岸の住民が最も被害を受けています。川の浅瀬化と狭窄化により、水の許容量が減少し、降雨量の増加が洪水を引き起こし、人口密集地域にまで被害が及んでいます。

交通

北ルソン高速道路が市内を通過しており、フィリピン国鉄のガバナー・パスカル駅が通勤列車の北端駅となっています。

宗教

マラボンでは、ローマ・カトリックが最も信者数が多く、住民の約80%が信仰しています。マラボンはカローカン司教管区に所属しています。その他には、フィリピン独立教会、バプテスト教会、Jesus the Living Stone International Assembly of God、キリスト教会、Members Church of God International、Jesus Is Lord Church、安息日再臨派などの教会が存在します。

姉妹都市

マラボンは以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。
ナヴォタス（フィリピン・マニラ首都圏）
パラニャーケ（フィリピン・マニラ首都圏）
ケソン（フィリピン・マニラ首都圏）
秋田市（日本・秋田県）
* 台北（台湾）

マラボンは、歴史と文化、そして現代的な都市機能が共存する興味深い都市です。しかし、洪水問題などの課題も抱えており、持続可能な都市開発が求められています。

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