マラムレシュ県

マラムレシュ県：歴史と文化が息づくルーマニアの秘境

マラムレシュ県は、ルーマニア北部に位置し、ウクライナとの国境に接する地域です。県都はバイア・マーレで、周辺をスチャヴァ県、サトゥ・マーレ県、サラージュ県、クルージュ県、ビストリツァ＝ナサウド県に囲まれています。豊かな自然と独自の文化が色濃く残るこの地は、訪れる人々を魅了する様々な観光資源を有しています。

歴史

マラムレシュの歴史は古く、10世紀にハンガリー王イシュトヴァーン1世がボルザ（現ボルシャ）を開拓したことに始まります。中世には塩の産出と製材で栄えましたが、1241年のタタール人の侵攻によって人口の半分が失われるという悲劇も経験しました。14世紀には、マラムレシュの公ボグダンがモルダヴィア公国を建国しました。1920年のトリアノン条約によってマラムレシュ地方は分割され、大部分がチェコスロバキア領、残りがルーマニア領となりました。

人口構成

2021年の国勢調査によると、マラムレシュ県の人口は452,475人です。主要な民族構成は以下の通りです。

ルーマニア人：342,052人
ウクライナ人：25,690人
ハンガリー人：23,153人
ロマ人：11,881人

地理

マラムレシュ県の面積は6,304平方キロメートルで、その43％をロドナ山脈が占めています。ロドナ山脈の最高峰は標高2303メートルのピエトロスル山です。グトゥイ山地やツィブレシュ山地もロドナ山脈と共に東カルパチア山脈の一部を形成しています。県内にはティサ川、イザ川、ヴィシェウ川、マラ川が流れ、豊かな水資源を育んでいます。ロドナ山脈は多様な動植物の宝庫であり、ヨーロッパブナ、オウシュウトウヒ、ヨーロッパハイマツなどの森林や、セラスチウム・アルピナム、コケマンテマなどの高山植物が見られます。1979年には「ピエトロスル・マレ生物圏保護区」としてユネスコの生物圏保護区に指定されました。

経済

マラムレシュ県は、のどかな田園風景と伝統的な農業が特徴です。共産主義時代にも産業化の波にさらされることなく、昔ながらの生活様式が守られてきました。鉱業も盛んで、鉄以外の金属を産出しています。共産主義時代にはバイア・マーレ周辺に大規模な工業プラントが建設され、深刻な環境汚染が問題となりましたが、近年は産業活動の衰退により、汚染は改善傾向にあります。

観光

マラムレシュ県は、美しい田園風景、木工・手工芸産業、そして独特の建築様式を持つ教会群で知られています。特に、以下の観光スポットは必見です。

マラムレシュの木造聖堂群：ユネスコ世界遺産に登録されており、地域の伝統的な木造建築の粋を集めた美しい教会群です。
サプンツァの陽気な墓：埋葬者の人生をユーモラスに表現した墓碑が並ぶ、ユニークな墓地です。
ヴァセル渓谷森林鉄道：ウクライナとの国境近くの町、ヴィシェウ・デ・ススを発着する蒸気機関車で、美しい渓谷の景色を楽しめます。
ロドナ山脈：自然豊かな山岳地帯で、ハイキングやトレッキングに最適です。


マラムレシュ県は、ルーマニアの伝統的な文化と美しい自然を満喫できる魅力的な地域です。ぜひ一度、訪れてみてください。

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