マラヤ人民抗日軍

マラヤ人民抗日軍の概要

マラヤ人民抗日軍（MPAJA）は、1942年前後に日本軍に占領されたマレー半島で結成されたゲリラ部隊です。この部隊は、英植民地政府により刑務所から解放されたマラヤ共産党の党員によって組織され、一般の中国系住民をも巻き込みながら活動しました。彼らは、当初200名の共産党員が中心となり、ゲリラ戦の訓練を受けた後、民間人と連携して抗日活動を展開しました。

結成の背景

1941年12月、マレー半島に日本軍が侵攻すると、英植民地政府は約200人のマラヤ共産党員を解放し、特訓を実施しました。その後、彼らは潜伏しながらゲリラ戦を実践し、非共産系の中国系住民も参加するようになりました。この結果、マラヤ人民抗日軍は規模を拡大し、「三つ星軍」と呼ばれるようになりました。これは、中国人、マレー人、インド人を表す三つ星のバッジを着用していたためです。

戦時中の活動

MPAJAは、ペラ、ジョホール、スランゴールの各州で活発に活動し、抗日ゲリラ戦を展開しました。彼らの活動に関する資料によると、日本軍との戦闘はおよそ340回も行われ、敵側に約5,500名の死傷者を出したとされています。日本軍の統計では、彼らはおよそ600名の将兵と2,000名の警官に損害を与え、抗日軍側には約2,900名の損害があったとされています。

MPAJAは主に山中に潜伏し、食料や物資の補給を地域の中国系農民や共産党支持者に頼っていました。また、少数の英軍野戦保安隊136部隊も山中に潜伏しており、MPAJAの戦闘指導や軍事支援を行っていました。終戦時には、MPAJAのメンバーは約7,000名を数える規模にまで成長していました。

戦後の状況

1945年8月に日本が無条件で降伏し、第二次世界大戦が終結すると、MPAJAは英植民地政府およびその後を受け継いだマレーシア政府と対立を深めました。彼らは抗日戦争を通じて培った軍事力や組織力をもって、ゲリラ闘争を継続することとなります。MPAJAの活動はその後のマレーシアの独立運動においても大きな影響を与える存在となりました。

参考文献

• - フォーラム著、「日本の英領マラヤ・シンガポール占領期史料調査」フォーラム編『日本の英領マラヤ・シンガポール占領 : 1941～45年 : インタビュー記録』33巻。
• - 本田忠尚『茨木機関潜行記』。

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