マリア (ルーマニア王妃)

マリア・ア・ロムニエイの生涯

マリア・ア・ロムニエイ（1875年 - 1938年）は、ルーマニア王フェルディナンド1世の王妃で、その人生は多くの歴史的瞬間に彩られています。マリアはエディンバラ公アルフレッドとロシア皇女マリアの娘として、イギリスのケント州で生まれました。彼女には、ロシアの皇族と結婚したヴィクトリア・メリタ嬢やガリエラ公爵夫人ベアトリスなど、著名な姉妹がいます。

若い頃、マリアはイギリス王室のジョージ・オブ・ウェールズとの婚約が期待されていましたが、母親の反対により結婚は実現しませんでした。そのため、彼女はルーマニア王家との結婚へと進んでいくことになります。1893年、ルーマニア王太子フェルディナンドと結婚し、子どもを6人授かりましたが、その結婚生活は残念ながら幸福とは言えませんでした。

不幸な結婚生活

マリアは夫フェルディナンドに対して不満を抱いており、アメリカ人舞踏家ロイ・フラーとの文通から彼女の苦悩が垣間見えました。長男カロルと長女エリザベタの父親は明確なが、他の子どもたちの父親については疑念が残り、特にイレアナ王女とミルチャ王子の正統性には疑問が投げかけられています。特にミルチャは、性格や外見からも異なるため、外部からの疑惑を引き起こしました。

ルーマニアでの影響力

第一次世界大戦中、マリアは国のために積極的に活動しました。彼女は赤十字社に参加し、負傷者の看護に尽力しました。戦後、彼女はヴェルサイユ講和会議にルーマニアの代表として参加し、「戦士王妃」として国際的に注目を浴びました。この活動を通じて、ルーマニアは国土を大幅に拡大する成果を上げることとなります。彼女はルーマニア愛国主義者であり、時には政略的な判断も行い、夫の弱い意志を補いました。

家族との関係

マリアと長男カロルの関係は複雑で断絶していき、特にカロルの母親に対する期待に応えることができなくなったことで、二人の間には確執が生じました。カロルは自身の選んだ愛人マグダ・ルペスクと親密になり、これがさらに母と息子の関係を悪化させる要因となりました。マリアはその後、夫の死を経て、著作を執筆し、自己の人生を振り返るようになりました。

晩年と遺産

1938年に亡くなったマリアは、彼女の出生地やルーマニアの象徴的な地に埋葬されました。彼女は晩年にバハイ教に改宗したことでも知られています。マリアの文筆活動も重要であり、小説『Povestea neastâmpăratei Kildeen』は子どもたちに愛され、日本でも翻訳されました。彼女の遺産は、ルーマニアの歴史の中で非常に重要な位置を占めており、王妃としての影響は今も語り継がれています。

このように、マリア・ア・ロムニエイは、単なる王妃ではなく、知識、影響力、そして独自の人生観を持った女性として歴史に名を刻んでいます。彼女の生涯は、ルーマニアの政治と文化に多大な影響を与えました。

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