マリア・カロリーナ・ダズブルゴ

マリーア・カロリーナ・ダスブルゴの生涯

マリーア・カロリーナ・ダスブルゴ（Maria Carolina d'Asburgo）は、1752年に生まれ、1814年に亡くなったナポリとシチリアの王妃であり、オーストリアのマリア・テレジア女帝と神聖ローマ皇帝フランツ1世の十女です。彼女の人生は、国家の政治や家族の困難に深く関連していました。

婚姻と政治的影響力

当初、彼女はフランス王ルイ16世との婚姻が決定していましたが、急逝した姉マリア・ヨーゼファの後、1768年にナポリ王フェルディナンド4世との結婚が決まりました。この結婚は突然の出来事であり、特に妹マリア・アントワネットにとっては悲劇的な状況でした。結婚後、マリーア・カロリーナはフェルディナンドの代わりに政務を取り仕切り、政治の実権を握りました。

彼女は、長年にわたるスペインの干渉からナポリを解放し、政治的な影響力を強めていきました。ベルナルド・タヌッチを追放し、士官学校の設立と軍の再編成を推進しました。また、母マリア・テレジアに似た多くの子供に恵まれ、家庭と国を支え続けました。

革命の時代

1793年、フランス革命が起こると、当初は革命側に同情していたが、ルイ16世と妹マリア・アントワネットの処刑を受けて態度が変わりました。彼女の影響力を駆使し、ナポリ・シチリア合同軍を編成してフランス軍に立ち向かいましたが、ナポリ軍は劣悪な戦果を上げ、1796年には大きな損失を被りました。この戦争の混乱は、彼女の母がかつて経験した政局と似た状況に直面する結果となりました。

さらに、ヴェズーヴィオ山の噴火が追い打ちをかけ、マリーア・カロリーナの健康は悪化していく一方で、外交面では依然として存在感を示しました。教皇領での反乱への介入を試みましたが、これもまた失敗を重ね、ナポリ市がフランス軍に占領される結果となりました。1799年にはナポリで革命が起こり、共和制が建立されますが、王党派はしぶとく抵抗し、国王としての権威は揺らぎました。

晩年と退位後の生活

1806年、ナポレオンによってフェルディナンドはナポリ王位を剥奪されますが、マリーア・カロリーナはシチリア島で1812年まで影響力を持ち続けました。しかし、彼女は息子からの圧力を受け、シチリアからの退去を余儀なくされ、最終的にはオーストリアに亡命します。晩年に家族から疎まれる存在となった彼女は、ウィーンにて病に倒れました。

子女と家族の諸事情

マリーア・カロリーナとフェルディナンドの間には18人の子供が誕生しましたが、成人したのは7人のみです。彼女の子女たちは、外国の王室への嫁ぎ先を持つなど、ヨーロッパの王族との結びつきを強化しました。

人物としての側面

マリーア・カロリーナは、夫フェルディナンドの多くの欠点を受け入れつつも、常に全力で彼を支えることを自負していました。彼女の晩年、ナポレオン帝政の終焉とともに孫娘マリー・ルイーズがウィーンに帰国しますが、彼女は孫娘が夫との関係を続けないことに苛立ちを覚えました。彼女の言葉は、彼女自身の強い信念と愛情を示しています。

影響を受けた文化

マリーア・カロリーナの人生は、音楽や文学にも影響を与えました。オペラ「トスカ」において彼女の存在が暗示されており、彼女の姿は後世の文化においても記憶されています。また、現代の漫画作品でも彼女の名が取り上げられ、彼女の多面的な人生は多くの人々に知られています。

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