マリア・テレサ・デ・ボルボン=パルマ:生涯と業績
マリア・テレサ・デ・ボルボン=パルマ(María Teresa de Borbón-Parma、
1933年7月28日 -
2020年3月26日)は、スペイン
王室の分家である
ブルボン=パルマ家の一員でした。彼女はカルリスタ運動を支持する君主主義者でありながら、
社会主義活動家としても知られ、「赤い
プリンセス」という異名を持ちました。
生い立ちと教育
1933年、マリア・テレサは
パリで
ハビエル・デ・ボルボン=パルマとマドレーヌ・ド・ブルボン=ビュッセの娘として生まれました。幼少期は
フランスの
アリエ県ベッソンにある古ボス城で過ごしました。トゥールとケベックシティの中等教育機関で学んだ後、
パリ大学第4大学(ソルボンヌ大学)で
ヒスパニック研究の博士号を取得。さらに、
マドリード・コンプルテンセ大学で政治社会学の博士号も取得しました。彼女は両大学で教鞭を執りました。
研究と社会活動
1977年、ソルボンヌ大学で発表した論文「La clarificación ideológica del Carlismo contemporáneo」(現代カルリスタのイデオロギー的解明)は、彼女の研究活動における重要な成果の一つです。また、イスラム教と
女性の権利の関係についても研究するなど、幅広い分野に関心を持っていました。
社会主義活動家として、
女性の権利擁護にも尽力しました。1997年のインタビューでは、自身が
キリスト教徒であることを表明しつつ、格差を生み出すようなキリスト教のあり方を批判しました。
1960年代から1970年代にかけて、マリア・テレサはスペインのカルリスタ党をより自由主義的にするための活動を兄カルロス・ウゴと共に支援し、家族のカルリスタ主義におけるイデオロギーの転換を支持しました。彼女の出自と視点は多くの人々を魅了し、
アンドレ・マルロー、
フランソワ・ミッテラン、
ヤーセル・アラファート、
ウゴ・チャベスといった著名人とも交流を持ちました。これらの活動から、「赤い
プリンセス(la princesa roja)」という愛称で呼ばれるようになりました。この愛称は、ジョセップ・カルラス・クレメンテによるマリア・テレサの伝記のタイトルにも使用されています。
スペイン国籍の取得
1981年、マリア・テレサは国王令によりスペイン国籍を取得しました。これは、「利害関係者の要請で、例外的な状況に応じて、そして彼女がスペインと非常に密接に関連している家系に属していることに応じて」与えられたとされています。
死去
2020年3月26日、マリア・テレサはCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のため
パリで86歳で死去しました。彼女はCOVID-19で亡くなった世界初の
王室メンバーとなりました。翌日、
マドリードで追悼式が行われました。生涯未婚であり、子供はいませんでした。
著作
マリア・テレサは、数多くの著作も残しています。
Borbón-Parma, María Teresa de (1977). El momento actual español, cargado de utopía (
スペイン語). ISBN 9788422902164。
Borbón-Parma, María Teresa de (1979). La clarificación ideológica del partido Carlista (
スペイン語). ISBN 9788485596027。
Borbón-Parma, María Teresa de (1990). Cambios en México (
スペイン語). ISBN 9788430918591。
Borbón-Parma, María Teresa de (1994). Magreb: Nuestro poniente proximo (
スペイン語). ISBN 9788476833308。
Borbón-Parma, María Teresa de (1997). Don Javier : una vida al servicio de la libertad (
スペイン語). ISBN 9788401530180。
Borbón-Parma, María Teresa de (1999). Desde Tánger (
スペイン語). ISBN 9788483740774。
* Borbón-Parma, María Teresa de (2009). Así fueron, así son (
スペイン語). ISBN 9788408088967。
マリア・テレサ・デ・ボルボン=パルマは、その生涯を通して、政治、社会、学問の分野で多岐にわたる活動を展開し、多くの人々に影響を与えた人物でした。