マリア・デ・パディーリャ

マリア・デ・パディーリャ：愛された王妾の生涯

マリア・デ・パディーリャ（1334年 - 1361年）は、カスティーリャ王ペドロ1世の愛妾として歴史に名を残しました。彼女は王から深く愛され、その影響力は王妃ブランカ・デ・ボルボンを幽閉させるほどであったと伝えられています。本記事では、マリアの生涯、ペドロ1世との関係、そして彼女が後世に与えた影響について詳しく解説します。

生い立ち

マリアは、現在のパレンシア県にあたるアストゥディージョで生まれました。彼女の家系であるパディーリャ家は、ブルゴスの名家であり、カストロヘリスの代官を務める家柄でした。

ペドロ1世との出会い

ペドロ1世がアストゥリアスで反乱を起こした異母兄エンリケ・デ・トラスタマラを討伐した際、マリアと出会ったとされています。この出会いがきっかけで、マリアはペドロ1世の愛妾となり、深い愛情で結ばれることになります。

王妃との結婚とマリアの存在

1353年、ペドロ1世は政略結婚でブルボン公ピエール1世の娘ブランカと結婚しますが、これは彼自身の意思ではありませんでした。結婚後まもなく、ペドロ1世はブランカを拒絶し、マリアの元へ戻ります。当時、マリアはすでにペドロ1世との間に第一子を身ごもっていました。

ペドロ1世はブランカを幽閉し、マリアを寵愛し続けました。この状況は、カスティーリャ国内に混乱を招き、王に対する反発を招く一因となりました。教皇庁もこの事態を重く見て、ペドロ1世にマリアを遠ざけ、ブランカと生活するよう警告しましたが、彼はこれを聞き入れませんでした。

子供たち

マリアはペドロ1世との間に、ベアトリス、コンスタンサ、イサベル、アルフォンソの4人の子供をもうけました。

死去とその後

1361年、マリアはセビーリャで急逝しました。死因はペストであったとされています。ペドロ1世はマリアの死を深く悲しみ、彼女を正当なカスティーリャ王妃であると宣言しました。また、2度の結婚の無効を表明し、マリアとの子供たちを嫡出子として認知させました。マリアの遺体はセビーリャ大聖堂の王家の礼拝堂に埋葬されました。

後世への影響

マリアの娘たちはそれぞれ重要な結婚をし、カスティーリャ王位継承に影響を与えることになります。コンスタンサはランカスター公ジョン・オブ・ゴーントと結婚し、イサベルはヨーク公エドマンド・オブ・ラングリーと結婚しました。これらの結婚により、カスティーリャ王位継承権はランカスター家とヨーク家に相続されることになりました。

1388年、カスティーリャ王子エンリケ（後のエンリケ3世）とランカスター公女キャサリンの結婚により、ペドロ1世とエンリケ・デ・トラスタマラの間の争いは終止符が打たれました。この結婚は、カスティーリャの安定をもたらし、新たな時代を築くきっかけとなりました。

史跡

マリアにちなんだ史跡も存在します。

ドニャ・マリアの塔（セビーリャ県ドス・エルマーナス）
サンタ・クララ修道院と付属宮殿（パレンシア県アストゥディージョ）
* ペドロ1世宮殿（トレド県トリホス）

これらの史跡は、マリアの存在を今に伝える貴重な遺産となっています。

マリア・デ・パディーリャは、美貌と知性、そしてペドロ1世からの深い愛情によって、カスティーリャの歴史に名を刻みました。彼女の生涯は、愛と権力、そして政治的陰謀が複雑に絡み合った、ドラマティックな物語として語り継がれています。

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