マリア2世 (ポルトガル女王)

マリア2世：激動の時代を生きたポルトガル女王

マリア2世（1819年4月4日 - 1853年11月15日）は、ブラガンサ朝のポルトガル女王であり、「教育王」とも呼ばれました。彼女の生涯は、ポルトガルの政治的混乱期と深く結びついています。

生涯

マリア2世は、父であるポルトガル国王ペドロ4世（ブラジル皇帝ペドロ1世）と、母である皇后マリア・レオポルディナ（オーストリア皇帝フランツ1世の娘）の長女として、ブラジル・リオデジャネイロで生まれました。彼女は、新大陸で生まれ育った最初で唯一のヨーロッパ君主です。

1821年、ポルトガル王ジョアン6世が亡くなると、ブラジル皇帝であった父ペドロ1世にポルトガル王位継承権が発生しました。しかし、ペドロ1世は7歳の娘マリア・ダ・グロリアをポルトガル女王と宣言し、マリア2世が誕生しました。幼い女王は叔父であるドン・ミゲルと婚約しましたが、1828年にミゲルが王位を僭称し、ポルトガルは2人の国王が並立する異常事態に陥りました。

オーストリア宰相メッテルニヒの薫陶を受けたミゲルは、絶対君主として保守反動政治を行いました。これに対抗するため、父ペドロ1世はブラジル皇帝位を息子に譲り、1832年に軍を率いてポルトガルに上陸し、内戦が勃発しました。ペドロ派は1833年にリスボンに入城し、マリア2世も帰還を果たしました。1834年にミゲルが敗北し内戦は終結、しかし父ペドロ1世も同年に亡くなりました。

1834年9月、ポルトガルのコルテス（議会）は15歳のマリア2世に国王権力を正式に委譲しました。同時に、ナポレオン1世の養子ウジェーヌ・ド・ボアルネの息子、ロイヒテンベルク公アウグストとの結婚も承認されましたが、アウグストは翌年に病死しました。1836年、マリアはザクセン＝コーブルク＝ゴータ公子フェルディナント（後のフェルナンド2世）と再婚しました。

女王の治世下では、コスタ・カブラル将軍が権力を握り独裁的な政治を行いました。1846年には北部で反乱が発生し政府を脅かしましたが、スペインとイギリスの軍事介入により鎮圧されました。1851年にはサルダーニャ将軍がクーデターを起こし実権を掌握、政情は安定に向かいました。1853年11月15日、マリア2世はリスボンで崩御し、長男のペドロ5世が王位を継承しました。

子女

最初の夫であるロイヒテンベルク公アウグストとの間には子供はいませんでした。2番目の夫フェルナンド2世との間には多くの子が生まれましたが、夭逝した子供もいました。

ペドロ5世（1837年 - 1861年）
ルイス1世（1838年 - 1889年）
マリア（1840年）
ジョアン（1842年 - 1861年）
マリア・アナ（1843年 - 1884年）
アントニア（1845年 - 1913年）
フェルナンド（1846年 - 1861年）
アウグスト（1847年 - 1889年）
レオポルド（1849年）
マリア・ダ・グロリア（1851年）
* エウジェニオ（1853年）


マリア2世の生涯は、激動の時代における君主の役割と、ポルトガルの歴史における重要な転換期を象徴しています。

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