マリウス・ビゼール

マリウス・ビゼール：柔道界の改革者

マリウス・ビゼール（Marius L. Vizer、1958年11月7日 - ）は、ルーマニアのオラデア出身の柔道家であり、後にオーストリア国籍を取得しました。彼はヨーロッパ柔道連盟会長、スポーツアコード会長を経て、長年にわたり国際柔道連盟（IJF）会長を務め、柔道界に大きな影響を与えました。

生い立ちと亡命

ニコラエ・チャウシェスク政権下のルーマニアで軍に所属しながら柔道に打ち込み、1982年から1995年までコーチとして活躍しました。1988年にハンガリーへ亡命し、その後オーストリアへ移住。ハンガリーで事業を成功させ、家族と共にオーストリア国籍を取得しました。

柔道界での台頭

2002年にヨーロッパ柔道連盟会長に就任し、ウラジーミル・プーチンを名誉会長に迎えました。2005年には国際柔道連盟会長選挙に立候補しましたが、朴容晟に敗れました。しかし、2007年にはアジア柔道連盟の会長選挙を操り勢力を拡大、同年9月には国際柔道連盟会長に就任しました。

改革と反発

ビゼールは、それまで2年おきに開催されていた柔道世界選手権を毎年開催とし、テニスのようなツアー大会を設立しました。また、主要国際大会の放映権をIJFが持つように改めました。

2013年にはスポーツアコード会長に就任し、合同世界選手権の構想を打ち出しましたが、IOCからの支持は得られませんでした。2015年にはIOC会長のトーマス・バッハを公然と批判し、IOCとの対立を深めました。この発言はスポーツアコード加盟団体からの反発を招き、多くの団体がスポーツアコードを脱退、最終的にビゼールはスポーツアコード会長を辞任しました。

その後

2017年、国際柔道連盟会長に再任。2019年には、東京オリンピックのボクシング競技主管組織であるIOC内特別作業部会のメンバーに選ばれました。2021年にも国際柔道連盟会長に再任されています。

人物像

ビゼールは、政治的手腕に長けていると評され、国際柔道連盟会長就任までに多額の資金と組織力で多数派工作を行いました。その手腕は賛否両論ありますが、谷本歩実がテレビ番組で「ビゼールのおかげで柔道が面白くなった」と発言するなど、その功績を評価する声もあります。

主な改革

世界柔道選手権大会の毎年開催（2007年以前は2年に1度）
IJFワールド柔道ツアーの開催
* ランキング制の導入

備考

「Marius Vizer」の日本語表記は、「マリウス・ビゼール」と「マリアス・ビゼール」の2種類が存在します。

マリウス・ビゼールは、柔道界に数々の改革をもたらし、その発展に大きく貢献した人物です。しかし、その手法は時に強引であり、多くの反発も招きました。彼の功績と課題は、今後の柔道界にとって重要な教訓となるでしょう。

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