マリーバードランド

マリーバードランドとは

マリーバードランド（Marie Byrd Land）は、南極大陸の西部に位置する特異な地域であり、その名称はアメリカの探検家リチャード・バードの妻に由来しています。この地域は、エドワード7世半島を起点として西経103度01分から158度01分に及び、ロス海やエルスワースランドと接しています。マリーバードランドは、探検の歴史があるものの、正式にはいずれの国家によっても領有が主張されていないため、「無主地」としても知られています。

地理的特徴

マリーバードランドは、南極圏の厳しい環境で形成された多様な地形を持ちます。特に、顕著な特徴としてアムンゼン海に面していることや、ロックフェラー高原、スルツバーガー湾などの地形が挙げられます。また、エグゼクティブ・コミッティー山脈やシドリー山、ハンプトン山なども存在し、険しい地形が魅力の一つとされています。

この地域の海岸は、アメリカ地質調査所（USGS）の地名情報システムにより、さまざまな部分に分けられています。具体的には、エドワード7世半島先端のCape Colbeckから、エイツ・コーストのCape Waiteまでの広構が整然と配置されています。

歴史的背景

マリーバードランドは、1929年にリチャード・バード少将が指揮した南極探検隊によって初めて探査されました。この探検隊は当初、現在のマリーバードランドの北西部を調査し、その成果を基にこの地域に名前が付けられました。リチャード・バードの奥様であるマリーの名が地域名称に選ばれた理由は、彼の妻への想いが込められているからです。

1946-1947年には、リチャード・バードが指揮する南極観測プロジェクト（ハイジャンプ作戦）の一環として、マリーバードランドのさらなる研究が進められました。また、1958年から1959年には、アメリカによる航空偵察も実施されています。

生態系と環境

マリーバードランドは厳しい気候により植生が非常に乏しい地域ですが、近年、コケの存在が確認されています。特に、オオハリガネゴケやナンキョクギボウシゴケなどの種が見つかっており、これらはマリーバードランドのみならず、周辺の南極半島やウィルクスランドにも分布しています。

南極条約によって、コケを踏みつけることは厳格に禁じられており、これにより生態系が保護されています。在存している植物たちは、過酷な環境の中で貴重な生態系を維持しており、科学者たちによる研究の対象となっています。

領有権に関する問題

国際的には、マリーバードランドを含む西経90度から西経150度の地域は、いずれの国からも正式な領有主張がなされていないため、特異な地位を占めています。ニュージーランドがロス海属領として、西経150度以西の領有を主張していますが、南極条約によってその主権請求は凍結されており、事実上の管理は難しい状況です。

このように、マリーバードランドは地理的特徴、歴史的背景、そして国際的な政治状況を合わせ持つ、非常に興味深い俗称の地域であり、南極探検の重要なスポットとなっています。

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