マリー・ルイーズ・ダルバーグ＝アクトン

マリー・ルイーズ・ペリーヌ・ダルバーグ＝アクトン：二つの名家を繋いだ女性

マリー・ルイーズ・ペリーヌ・ダルバーグ＝アクトン（Marie Louise Pelline Dalberg-Acton, 1813年1月16日 - 1860年3月14日）は、激動の時代を生きた女性です。フランス皇帝ナポレオンに仕えたドイツ貴族の父と、フランス皇后に仕えたイタリア貴族の母という、国際色豊かな血筋を受け継ぎました。彼女の生涯は、二度の結婚を通じて、イギリス貴族社会とヨーロッパ大陸の歴史を繋ぐ架け橋となりました。

生い立ちと結婚

マリー・ルイーズは、エメリッヒ・ヨーゼフ・フォン・ダールベルク公爵と、マリーア・ペレグリーナ・テレーザ・ブリニョーレ・サーレの間に生まれた一人娘でした。1832年、彼女は最初の結婚で、ナポリ首相ジョン・アクトンの息子であるイギリス人準男爵ファーディナンド・アクトンと結ばれました。この結婚によって、彼女は「レディ・アクトン」と呼ばれるようになります。そして、二人の間には、後に歴史家・政治思想家として名を馳せるジョン・ダルバーグ＝アクトン（アクトン卿）が誕生しました。

ダルバーグ＝アクトン家の成立

マリー・ルイーズは、ドイツ貴族ダールベルク家のヘルンスハイム分家の最後の男系子孫でした。この血筋を重んじたイギリス国王は、1833年、アクトン夫妻とその子孫が「ダルバーグ＝アクトン」の複合姓を名乗ることを勅許しました。この勅許によって、ダルバーグ家の名跡は、マリー・ルイーズの血を引くアクトン男爵家へと引き継がれることになったのです。1940年にダールベルク家の男系男子が途絶えた後、ダルバーグの名を現在も名乗るのは、マリー・ルイーズの直系子孫であるアクトン男爵家のみとなっています。

グランヴィル伯爵夫人として

1840年、マリー・ルイーズはグランヴィル伯爵家の長男、ルーソン卿グランヴィル・ルーソン＝ゴアと再婚します。1846年に夫が伯爵位を継承すると、彼女はグランヴィル伯爵夫人となりました。伯爵夫妻は、マリー・ルイーズが父から相続したヴォルムスのヘルンスハイム城を改築し、夏の居館として愛用しました。この城は、彼女の出自を示す象徴的な場所であり、彼女にとって特別な意味を持っていたと考えられます。

マリー・ルイーズ・ペリーヌ・ダルバーグ＝アクトンの生涯は、ヨーロッパ貴族社会の複雑な人間関係と、歴史の大きな流れの中で翻弄されながらも、自らの家名を守り抜いた女性の物語です。彼女の存在は、現代においても、ヨーロッパの歴史を語る上で重要な意味を持っています。

参考文献

Johannes Bollinger: 100 Familien der Kämmerer von Worms und der Herren von Dalberg. Bollinger, Worms-Herrnsheim 1989.
Detlev Schwennicke: Europäische Stammtafeln. Stammtafeln zur Geschichte der europäischen Staaten. Neue Folge, Band 9: Familien vom Mittel- und Oberrhein und aus Burgund. Marburg 1986.

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