マルシンハンバーグ

マルシンハンバーグ：日本の食卓を彩るロングセラー物語

マルシンハンバーグは、1962年、株式会社マルシンフーズによって発売された、日本の国民食ともいえるハンバーグ状食品です。発売から60年以上もの間、多くの人々に愛され続け、その歴史は日本の食文化、経済状況と深く関わっています。

始まり：築地魚河岸から生まれたハンバーグ

マルシンハンバーグの生みの親は、東京・築地市場で水産加工品を扱う「有明商店」を経営していた新川有一氏です。海外でハンバーグを食べた経験から、日本の食卓にハンバーグを届けたいという強い思いを抱き、開発に着手しました。当時、牛肉は高価だったため、鯨肉、豚肉、マグロなどを主原料とした、庶民でも手の届く価格（1個14円）のハンバーグが誕生しました。

発売当初は、ハンバーグという食品自体が日本に馴染みがなかったため、薩摩揚げと間違えられることも多かったそうです。「薩摩揚げのおばけ」という愛称で親しまれながらも、徐々にそのおいしさと手軽さが広まり始めました。

全盛期と苦難の時代：競合と経済状況の変化

1970年代には、キャッチーなCMソング「マルシン、マルシン、ハンバーグ♪」と共に、テレビCMを展開。その効果もあり、1975年には年間生産数100万食を達成するなど、マルシンハンバーグは空前のブームを巻き起こしました。しかし、1970年代後半からは、石井食品の「イシイのチキンハンバーグ」などの競合商品の登場や、本格的なハンバーグの普及、牛肉の高騰などにより、売上は下降線をたどります。バブル経済崩壊後の1991年には、長年続けたテレビCMも打ち切らざるを得ませんでした。

昭和レトロブームと新たな挑戦

2000年頃からは、弁当需要の高まりや昭和レトロブームによって、売上は再び上昇に転じ始めます。懐かしさを感じさせる昭和の雰囲気を全面に出した居酒屋などでもメニューに採用され、人気を博しました。2005年にはテレビCMが再開され、おなじみのCMソングも復活。再び人々の注目を集めました。

2011年には丸大[[食品]]の完全子会社となり、商品開発にも変化が現れました。2013年には、高級感のある「マルシンハンバーグ 贅沢仕立て」を発売。この商品は、第1回ハンバーググランプリでチルド部門金賞を受賞するなど、高い評価を受けました。

最新の取り組み：時代のニーズに対応

近年では、電子レンジ調理への対応や、大豆ミートを使った「マルシンハンバーグ 大豆ミート」の発売など、時代のニーズに対応した商品開発も進めています。2021年には、従来の商品の1.5倍サイズである「マルシンハンバーグ Big」も登場しました。

マルシンハンバーグの歴史：技術革新と時代の流れ

マルシンハンバーグの歴史は、日本の食文化や経済状況、そして技術革新と密接に関連しています。発売当初の手作り生産から本格的な機械化工場への移行、パッケージの進化、CM戦略など、時代の変化に合わせて柔軟に対応することで、ロングセラー商品としての地位を確立してきました。現在も、伝統を守りつつ、常に進化を続けるマルシンハンバーグは、これからも日本の食卓に欠かせない存在であり続けるでしょう。その歴史は、日本の高度経済成長期から現代までの社会情勢を反映する、興味深い物語でもあります。

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