マルタ (マリアの姉)

マルタ（ベタニアのマルタ）について

マルタ、またはマルファは、新約聖書に登場する重要な人物であり、キリスト教における聖人です。マルファという呼び名は、主に日本ハリストス正教会で用いられています。彼女はベタニアという場所に住んでおり、弟のラザロ、妹のマリアとともに、イエス・キリストと親しい間柄でした。福音書には、イエスが彼らの家を訪れた様子がいくつかの箇所に記されています。

生涯と福音書での記述

マルタに関する記述は、主にルカによる福音書10章38-42節、ヨハネによる福音書11章1-40節、12章1-11節に見られます。これらの箇所から、彼女がイエスを歓待し、もてなすことに熱心であったことが伺えます。特に有名なのは、ルカ福音書におけるエピソードで、マルタが忙しく立ち働く一方で、妹マリアはイエスの足元で話を聞いていたという場面です。このことから、マルタは伝統的に「活動的生活」、マリアは「観想的生活」の象徴と解釈されています。

伝承と象徴

新約聖書にはマルタの死に関する記述はありませんが、中世以降、プロヴァンス地方で宣教活動を行ったという伝承が生まれました。この伝承によると、マルタはタラスコンという場所に現れたドラゴン（タラスク）を聖水を使い、自らの帯で捕らえたとされています。マルタの聖遺物は1187年にタラスコンで発見され、彼女に対する信仰はさらに広まりました。

図像と守護

マルタは絵画などの図像で表現される際、聖書や聖人伝に基づいたアイテムを持つ姿で描かれます。例えば、ひしゃく、箒、鍵束などがその典型です。これらのアイテムは、彼女が主婦や家事を手伝う女性たちの守護聖人であることを象徴しています。また、ドラゴンを従えた姿もマルタを特徴づける図像の一つであり、これはタラスコンの伝承に由来します。

まとめ

マルタは、新約聖書に登場する重要な女性であり、その生涯は「活動的生活」の象徴として解釈されています。彼女の物語は、キリスト教信仰における行動と観想のバランスについて深く考えさせるものです。また、彼女が持つ様々な象徴的な意味は、多くの人々に影響を与え続けています。

脚注

記憶日は7月29日。
マルタは主婦や手伝いをする姉妹の守護聖人とされる。

参考文献

ヤコブス・デ・ウォラギネ、前田 敬作（訳）、西井 武（訳）、2006、『黄金伝説3』、平凡社〈平凡社ライブラリー〉
Farmer, David (2011). The Oxford Dictionary of Saints, Fifth Edition Revised (Oxford Quick Reference). OUP Oxford (Kindle版)

関連項目

聖書の登場人物の一覧
マルタ (小惑星)
マルタ (曖昧さ回避)
オンラインゲーム『Fate/Grand Order|Fate_Grand Order』 - サーヴァントとして登場。

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