ベタニア

ベタニア：聖書の舞台とその歴史

ベタニアは、新約聖書に登場する重要な地名であり、エルサレムの近郊に位置していました。この地は、マリア、マルタ、ラザロの兄弟が住んでいた場所として特に有名です。現在のパレスチナ人村アル＝エイザリヤが、この古代ベタニアの場所であると考えられています。オリーブ山の南東麓に位置し、歴史的な出来事の舞台となってきました。

新約聖書におけるベタニア

イエスがエルサレムに入る前、しばしばベタニアに滞在したと福音書には記されています。特に有名なのは、ラザロを死から蘇らせた奇跡の物語（ヨハネ11:38）です。また、イエスの葬儀に先立ち、香油を塗られる出来事もこの地で起こりました（ヨハネ12:3）。これらの出来事は、ベタニアがイエスの生涯において重要な場所であったことを示しています。

さらに、ルカによる[[福音書]]と使徒言行録では、ベタニアとその周辺がイエスが天に昇った場所であるとされています。イエスは復活後、弟子たちに現れた後、この地で昇天したと伝えられています。

中世のベタニア

中世に入ると、1138年にエルサレム王国の女王メリザンド（フールク・ダンジュー王妃）によってこの地に修道院が設立されました。メリザンドはこの修道院で生涯を終え、孫娘のシビーユもここで育ったとされています。これらの歴史的事実は、ベタニアが宗教的にも重要な場所であったことを示しています。

その他のベタニア

聖書には、ヨルダン川東岸にも「ベタニア」という同名の地名が登場します。この地は、上記ベタニアから約30km東に位置しており、ヨハネ福音書1:28で洗礼者ヨハネが洗礼を授けていた場所として言及されています。欽定訳聖書では、この場所は「ベタニア」ではなく「ベタバラ」と表記されています。これは、士師記7:24に登場するベト・バラ、あるいはヨシュア記18:22のベト・アラバと同じ場所を指している可能性も指摘されています。

このように、聖書には複数箇所に「ベタニア」という地名が登場しますが、それぞれが異なる場所である可能性があり、歴史的・地理的な背景を考慮する必要があります。このため、聖書を読む際には文脈を理解し、どのベタニアについて語られているのかを注意深く確認する必要があります。

ベタニアは、その聖書的な重要性と歴史的な背景から、今日に至るまで多くの人々に記憶され、研究されている場所です。エルサレム近郊のベタニアと、ヨルダン川東岸のベタニアの両方が、聖書の物語を理解する上で重要な手がかりとなります。

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