マルチメディアカード

マルチメディアカード (MMC)

マルチメディアカード（MultiMediaCard、MMCと略される）は、1997年にサンディスクとシーメンス（後のインフィニオン・テクノロジーズ）が共同で開発したメモリーカードの規格です。1998年にはMultiMediaCard Associationが設立され、規格の維持・開発が行われました。

概要

MMCは、32mm×24mm×1.4mmという小型サイズで、重さは2g未満です。初期のインタフェースは7ピン・シリアルで、最大20Mbpsのクロック速度、最大2MB/s程度の書き込み速度でした。バージョン4.2まではSPIモードも搭載されており、低速ながらもSPIバスでの複数デバイス接続が容易でした。

記憶容量は当初4MBから始まり、最大4GB（2005年）まで増加しました。その後、高速化されたHS-MMC（52MB/s, 13ピン）、ミニサイズのRS(Reduced Size)-MMC（24x18x1.4mm）、さらに小型のMMC Micro、コンテンツ保護機能を持つSecureMMC（UDAC-MB方式）など、様々なバリエーションが登場しました。

高速化が進むにつれて、MMCは端子数の少ない高速インタフェースとしての応用範囲を広げました。SIMカードの高速化や、超小型ハードディスクドライブ用のATAコマンド対応低消費電力インタフェースとしての利用などが挙げられます。

SDメモリーカードとは、物理形状・電気特性・コマンドフォーマットにおいて互換性があるため、SDメモリーカード対応機器でMMCを利用できる場合が多くあります。ただし、コマンド自体は機能の置き換えや追加があるため、完全な互換性はありません。また、小型のminiSDやmicroSDとは、RS-MMC、MMC Microともに物理形状が異なり、互換性はありません。

海外では、ノキアがRS-MMCを携帯電話の外部メディアとして採用していたため、一定の需要がありました。しかし、近年ではノキアもmicroSDカードに移行しています。日本では、SDメモリーカードの普及により、MMCは過去の規格と見なされる傾向にあります。

2004年には、ノキア製携帯電話Vodafone 702NK (Nokia 6630)のヒットにより、RS-MMCが一時的に注目を集めました。また、FreeBSDではSDメモリーカードの特許問題を回避するため、SDメモリーカードを「マルチメディアカードの例外的な実装」として認識し、実装を進めています。

eMMC

eMMC (embedded MMC) は、MMCのコンポーネントをBGAパッケージに収めたものです。SPIバスはサポートしていません。スマートフォンやタブレットなどでよく使用されています。JEDECによって、2013年10月にeMMC 5.0、2015年2月にeMMC 5.1がリリースされました。eMMC 5.0の転送速度は400MB/secです。

eMMCでは、ホストシステムは単に論理ブロックアドレスにデータを読み書きするだけで済みます。eMMCコントローラのハードウェアとファームウェアがエラー訂正とデータ管理を実行することで、ホストシステムの負荷を軽減します。eMMCは100、153、169ボールパッケージで提供され、8ビットパラレルインターフェースをベースとしています。

eMMCは、基本的なホームタスクやオフィスタスクなど、小さなファイルやポータブル家電の保存に適しています。eMMCはSPIバスプロトコルをサポートしておらず、NANDフラッシュメモリを使用しています。容量は8GB程度から64GBクラスのものまで存在します。

関連項目

メモリーカード
SDメモリーカード
セキュア マルチメディアカード
Universal Flash Storage - eMMCの後継

外部リンク

JEDEC
MultiMediaCard Association Merges with JEDEC - 2008年9月23日
* MultiMediaCard Associsation (MMCA) - 閉鎖。（2012年8月18日時点のアーカイブ）

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