マルチ・ブート・マネージャ

マルチブートマネージャ（MBM）は、オープンソースで開発されたブートローダです。PC/AT互換機のマスターブートレコード（MBR）にインストールされるチェーンローダとして機能し、複数のオペレーティングシステム（OS）を一つのコンピュータで利用するための環境を提供します。

MBMの概要

MBMは、標準的なPCの起動プロセスを拡張し、ユーザーが起動時に表示されるメニューから目的のOSを選択できるようにします。通常、PCはブートフラグが設定されたパーティションの先頭にあるブートコードを実行しますが、MBMはこのプロセスを制御し、選択肢を提供します。MBMは、MBRとその後の領域にプログラム本体を書き込み、オプションとしてグラフィカルなメニューによるOS選択画面を提供します。このグラフィカルメニューは、インストール時に書き込み先のシリンダを指定することで利用可能になります。

MBMの主な機能

• - チェーンロードによるOS選択: MBMは、選択されたパーティションのブートセクタに処理を移すことでOSを起動します。これはチェーンローディングと呼ばれ、MBM自身がOSカーネルを直接起動するわけではありません。
• - パーティションの隠蔽: MBMは、特定のパーティションを隠すことで、他のOSからの干渉を防ぎ、異なるOS環境の共存を可能にします。特に、Windows 9x系やMS-DOSなどの古いOSでは、複数のOSを同時にインストールすると不具合が生じやすいですが、MBMを使用することで問題を回避できます。
• - パーティションテーブルの編集: MBMは、MBRにあるパーティションテーブルを直接編集できます。ただし、エラーチェックや整合性維持の機能は含まれていないため、操作には注意が必要です。不適切な編集は、システムの起動不良につながる可能性があります。
• - グラフィカルメニュー: デフォルトではテキストベースのメニューが表示されますが、オプションでグラフィカルなメニューを利用できます。これにより、OSの選択が視覚的に分かりやすくなります。
• - FDDブート: OS選択画面からフロッピーディスクドライブ（FDD）からの起動も可能です。
• - 再起動と電源断: MBMは、INT 19hを使った再起動や、APM BIOSを利用した電源断機能も提供します。

MBMのインストール

MBMのインストールは、MS-DOSやWindows 9x系ではコマンドラインから行いますが、MS-DOSがない環境でも、フロッピーディスクイメージやCDイメージを利用することでインストールが可能です。また、GPLライセンスに基づいて配布されているため、有志によってLinux環境からのインストールスクリプトも提供されています。グラフィカルメニューを使用するには、パーティション外にシリンダ一つ分の領域が必要になります。この領域が破損した場合や、確保できない場合は、テキストベースのメニューが利用されます。

MBMの本体は、MBRとその後のセクタに配置されるため、これらの領域を使用する他のシステムやツールとの共存はできません。ただし、標準的なWindowsやDOSのブートコードは置き換えが可能です。メーカー製PCでは、MBRにリカバリシステムへの制御を移すコードが含まれている場合があるため、MBMのインストール前に問題がないか確認が必要です。また、すでに構築されたシステムで、パーティション内のブートコード以降でマルチブートを実現している場合は、MBMでOSを選択後、そのシステムを起動する形になります。

対応が確認されているOS

MBMは、以下のOSでの動作が確認されています。

• - PC DOS 6.3, MS-DOS 6.2
• - Windows 95, Windows 98, Windows 98SE, Windows Me
• - Windows NT 3.51, Windows NT 4.0, Windows 2000, Windows XP, Windows Vista, Windows 7
• - OS/2 Warp 3
• - Linux, FreeBSD, NetBSD, OpenBSD
• - BeOS, B-right/V, Solaris, OPENSTEP 4.2J, Plan 9, EOTA

注意点

MBMは非常に便利なツールですが、パーティションテーブルの編集など、慎重な操作が必要な機能も含まれています。不適切な操作は、システムの起動不良を引き起こす可能性があるため、十分に理解した上で利用するようにしてください。

外部リンク

• - 公式サイト
• - ブートに関する一般的な情報へのリンク'>マルチブートの仕方
• - MBMユーザーズガイド

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