マルティニークの旗

マルティニークの旗について

マルティニークはフランスの海外県であり、公式な場ではフランス国旗が用いられます。しかし、マルティニーク独自の旗も存在します。

現在の旗

現在のマルティニークの旗は、2023年2月2日に制定された、赤・緑・黒の三色を組み合わせた横Y字旗です。

赤
緑
黒

これらの色は汎アフリカ旗の色でもあり、Y字に組み合わせた旗は1970年代よりマルティニーク独立運動家が用いてきた旗でした。2022年に実施されたマルティニークの旗を決めるコンテストでは2位でしたが、1位の旗のデザイナーが辞退したため、公式なマルティニークの旗となりました。

かつての非公式旗

かつては、青地に白い十字と蛇の旗が非公式な旗として用いられていました。この「蛇の旗」は18世紀以来の歴史があります。

1766年8月4日の勅令で、フランス植民地マルティニークおよびサント＝リュシー（後のイギリス領セントルシア）の船舶は、当時のフランス商船旗（青地に白い十字）の4箇所の青地部分それぞれに白い蛇を書き加えた旗を掲げることが義務付けられました。

蛇が首を持ち上げて「L」字型になっているのは、サント＝リュシー（Sainte-Lucie）の「L」を表していました。この蛇はヤジリハブ属の Bothrops lanceolatus* という種で、フェルデランス（fer-de-lance、槍の先）という名で知られており、ほぼマルティニーク島にしか見られない固有種です。

しかし、この旗は大西洋奴隷貿易の奴隷船で使われたことから、黒人奴隷を祖先とするマルティニークの国民の多くからは忌避され、非常に議論を呼ぶ旗でした。20世紀から21世紀にかけて次第に使われなくなりました。

2022年旗投票

今まではフランスの旗を非公式な旗と別に公式な旗として使用していました。2018年に旗を決めるコンテストを開催しましたが、受賞者発表から2年以上放置され、取り消しとなりました。

2022年、マルティニークは公式な旗を決める一般投票を開始し、ハチドリが描かれた旗が勝利しました。しかし、デザイナーのアナイス・デルワレは、2023年1月23日に撤回することを発表しました。撤回を受け入れた為、次に投票数が多かった旗が地方議会に提出され、賛成44票・棄権1票で2月2日に採択されました。

マルティニークの旗の歴史は、植民地時代から独立運動、そして現代へと続く、複雑な歴史を反映しています。

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