マルティニーク島侵攻 (1762年)

マルティニーク島侵攻（1762年）

マルティニーク島侵攻は、七年戦争中の1762年1月から2月にかけて、イギリス軍がフランス領マルティニーク島に対して行った軍事作戦です。イギリス軍はドミニカ占領の成功を受けて、マルティニーク島のフランス軍はイギリス軍の攻撃に備えて防備を強化していました。

侵攻準備

フランス軍は正規軍1,200名、民兵7,000名、私掠船の雇い船員4,000名を配備。島の地形も山がちで防衛に有利でした。一方、イギリス軍は周辺のイギリス領から支援を受け、アンティグア島から第38歩兵連隊の一部が、バルバドスからは黒人・白人それぞれ500名が徴募されました。

まず、ニューファンドランドのベルアイル島から派遣された4個歩兵連隊がバルバドスのカーライル湾に到着。その後、1761年12月24日には、ジョージ・ロドニー提督とロバート・モンクトン将軍率いる11個連隊がアメリカから到着し、遠征軍は総勢8,000名となりました。

マルティニーク島への攻撃

1762年1月5日、ジョージ・ロドニー提督の艦隊の援護のもと、イギリス遠征軍は出港。セントルシアの岩壁とカストリーズ港を通過し、2日後にはマルティニーク島南端を越えてサンタンヌ湾に到着。艦隊は錨を降ろし、そこから北のレゾンセ＝ダルレに2個旅団を上陸させました。上陸軍はフォール＝ロワイヤルの海岸南まで進軍しましたが、大砲の輸送に適さない地形のため撤退しました。

1月16日、イギリス軍はネグロ・ポイントのやや北、フォール＝ロワイヤルから5km離れたカス＝ナヴィルに全軍を上陸させました。しかし、カス＝ナヴァルからフォール＝ロワイヤルへの道は溝や雨裂が多く、フランス軍が要所に砦を築き、モルヌ・トルテンソンに砲台を設置していたため、モンクトンはまず砲台を破壊しなければ前進できませんでした。

1月24日朝、イギリス軍は砲台を完成させ、夜明けにモルヌ・トルテンソンへ総攻撃を開始。同時にフランス軍右翼へ分遣隊を派遣して奇襲をかけ、9時にはモルヌ・トルテンソンとその砲台を占領しました。フランス軍は混乱し、モルヌ・トルテンソンより高台にあるモルヌ・グレニエへ撤退しました。イギリスの2個旅団もモルヌ・トルテンソンの北にいるフランス軍と交戦し、モルヌ・グレニエへの撤退を余儀なくさせました。この日の戦闘で、イギリス軍は士官33名、兵士350名の死傷者を出しました。

1月25日、フォール＝ロワイヤルを射程に収めたモンクトン軍は、城砦への砲撃を開始。しかし、フランス軍がモルヌ・グレニエから砲撃してきたため、そちらの占領を優先しました。1月27日午後、フランス軍は3個縦隊でイギリス軍左翼を攻撃しましたが、うち1個縦隊がハイランダー部隊に側面を攻撃され潰走。フランス軍はモルヌ・グレニエへ敗走しました。イギリス軍は追撃し、モルヌ・グレニエを占領。この戦闘でイギリス軍は約100名の死傷者を出しました。モルヌ・トルテンソンの砲台はイギリス軍が完成させ、フランスの要塞から370mという近距離からの砲撃を可能にしました。

2月3日、フォール＝ロワイヤルが降伏し、2月12日にはマルティニーク島全土が降伏しました。

その後

2月26日から3月3日にかけて、モンクトンは分遣隊をセントルシア、グレナダ、セントビンセントへ派遣し、抵抗を受けることなく占領しました。また、ハバナ侵攻への部隊派遣命令を受けた際、トバゴ島への侵攻を計画していました。

1763年のパリ条約により、マルティニーク島はフランスに返還されました。

関連項目

七年戦争下のイギリス
七年戦争下のフランス

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