マルベック

マルベック（Malbec）

マルベックは、フランス南西部のカオール地域を原産とする赤ワイン用のブドウ品種であり、別名コットやオーセロワとも呼ばれています。かつてはボルドー地方でおもに用いられていましたが、現在ではその栽培面積が大きく減少し、補助的な役割に留まっています。最近では主にアルゼンチンでの栽培が盛んであり、世界のマルベック栽培の約75%がアルゼンチン産となっています。

歴史

マルベックへの言及は18世紀から記録されていますが、カオール産のワイン自体はローマ時代から知られていました。1855年にはボルドー地区での栽培面積の約60%を占めていましたが、病気に弱い特性から徐々にその数は減少。特に1956年には雹害に見舞われ、冷涼に弱いマルベックは甚大な被害を受け、その後はボルドーでの栽培は回復することなく、補助的な使用にとどまっています。

1853年にアルゼンチンへ持ち込まれたマルベックは、しばらくは存在感が薄かったものの、1980年代になるとメンドーサ地方でその可能性を見出した醸造家たちにより急速に栽培が広まりました。

特徴

2009年のDNA分析では、マルベックの母親がマグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント、父親がプリュヌラールであることが明らかになっています。起源はカオールのロット川近辺とされており、寒冷や遅霜に弱い特性を持っています。このように環境に敏感な一方で、マルベックは小さな粒と厚い果皮を持ち、豊富なタンニンと濃い色調のワインを生み出す特徴があります。特にカオールでは「黒ワイン」として知られています。

産地

フランス

カオールでは、マルベックの単一品種ワインやタナ、メルローとのブレンドが行われています。ボルドーに比べ雨が少なく、秋の乾燥した風でブドウが良く熟成するため、濃厚な色合いのワインが生まれやすいのが特長です。

ボルドー

ここでは赤ワイン用の品種の一環として認められていますが、ボルドー全体での栽培面積が11万ヘクタールに及ぶ中、マルベックはわずか1000ヘクタール未満。主にブレンド用の補助的役割に留まります。

アルゼンチン

アルゼンチンは日照量が豊富で乾燥した気候がマルベックに適しており、特にメンドーサでは栽培されるブドウの約80%がマルベックです。現在、アルゼンチンのマルベックは世界でもっとも栽培されている品種となり、その勢いは留まるところを知りません。

食品との組み合わせ

マルベックは豊かなタンニンを持つため、赤身肉との相性が抜群です。特にアルゼンチンの伝統料理であるアサードとともに楽しむ組み合わせが知られており、相互に引き立てあう味わいを提供します。

関連項目

• - ワイン
• - ワイン用ブドウ品種の一覧

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